
JR東京駅から都営線日本橋駅までの乗り換えはきつい。八重洲地下街におりて、さくら通りの入口で地上に顔を出し、中央通りと永代通りの交差点で再び地下にもぐってからがまた遠い。ようやく都営浅草線に乗り込んで蔵前で大江戸線に乗り換えようとしたが、これまた遠い。地上を延々と240mも歩かされる。そんなわけで新御徒町から歩き始めたときはもうかなりへとへとだった。((もちろん浜松町で乗り換えておけばこんな目に遭わずにすんだわけだが。))
彩りと華やぎ、そして人通りのない下町の風景。下町情緒というのはおそらく脳内にあるものなのだ。だが、久しぶりの下町なので、それすら少し新鮮さを感じた。
日比谷線の入谷駅から都電の終点三ノ輪橋。真夏の照りつける太陽の下ではどこかおずおずと隠れるように歩かなければならなかったが、このところ少しだけ大手を振って歩いている。秋の気配の気配を感じている。
ジョイフル三の輪のアーケードから都電に沿うように歩く。荒川区役所前の公園で少しだけ休憩していたら二匹の蝶が求愛のダンスをしていた。バレーのように一定の距離をおいて近づきすぎたり離れすぎないよう、見えない振り付け師の指図に従っている。
町屋まで。5.4kmと思ったより歩けていない。[地図]
神保町にでる。まずは自動販売機のスポーツドリンクで水分を補給する。そうしないと、食事がのどを通らないのだ。ふらんす亭に入る。チキンステーキのサルサソースがけとカレーのセット。1380円。店員の若い女性は完璧なイントネーションから日本ネイティブの学生アルバイトかと思ったが、ファンという名札をつけていた。どういう漢字なのだろう。
三省堂で、翻訳物三冊購入。リチャード・ブローティガン『アメリカの鱒釣り』、グレイス・ペイリー『最後の瞬間のすごく大きな変化』、A.J.ジェイコブズ『驚異の百科事典男』。
締めはスタバで。今読んでいる本で、ビーチ・ボーイズの「カリフォルニア・ガールズ」という曲についてさりげなく触れている箇所があったのだが、それから30ページ以上おいてまた彼らの名前が登場した。ぼくはそれがとても不思議なことに思えてしばらく呆然としていたのだけど、ようやくそのわけがわかった。流れているBGMがまさにビーチ・ボーイズの「カリフォルニア・ガールズ」だったのだ。天からのぞいている誰かさんに「GJ!」と微笑みかけたくなった。

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