呪われたバス

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ひまわり

今日はひとつ重大な計画があったのだが、床屋でマッサージのフルコースを試していたら遅くなってしまった。それでも計画を遂行すべく秋葉原に向かう。

秋葉原駅は電気街口の正面、山手線の線路の東側に中央改札という新たな出口ができている。そこからでるとまだ車が入れないロータリーがあり、すぐそばに開店間近のヨドバシがみえた。急激に変わりつつあるこの街にもうひとつ変化をもたらしたのが、24日に開業したばかりのつくばエクスプレス。計画というのは、もちろんつくばエクスプレスに乗車することだ。

もぐる、もぐる、とことんもぐる。構内はかなり混雑していて、切符売り場に行列ができていたりする。パスネットが使えるので(Suicaはだめ)ぼくは華麗にスルーした。

普通電車守谷行き。普通はつくばまでいかないのだ。モリヤといえば『指輪物語』(ロード・オブ・ザ・リングス)でバルログがあらわれてガンダルフともども地底深く消えていった坑道だが、今日はそこまでいくつもりはない。東京都の端、六町(ろくちょう)が目的地だ。新御徒町、浅草、南千住と、電車は坑道のようなトンネルをゆっくり進んでゆく。次の北千住で地上に出た後、荒川を越えると、再び地下へ。青井、そして六町。

地上に出ると、開店したばかりの飲食店と不動産屋があるばかりの閑散とした駅前。予想していたのとあまりかわらない風景だ。とりあえず太陽の沈む方向へ。

街並は変わらないが地名だけが変わってゆく。六町から、平野、島根、栗原。地下道を通って東武の線路の向こう側にでると西新井。このまま西新井駅の方にいっては芸がないと思いつつ、そのまままっすぐ進んでもどこにも着けないことはわかっていた。尾久橋通りに出たところでバスに乗ることにした。江北六丁目団地という停留所まで。5.1kmだった。[地図]。尾久橋通りは新交通システムの高架工事中だ。

バスはなかなか来なくて乗客の行列ばかりが増えてゆく。ここで思い直して西新井の方まで戻るべきだった。定かじゃないがたぶん10分遅れくらいで、ようやくやってきた。そのときぼくは途中のコンビニで買ったペットボトルをもっていて、つまり手に何かをもっているというのが不自然でない状態だったのだ。そのこともまた悔恨のひとつだ。

バスの真ん中で立っている人たちがざわついた。人が倒れたらしい。運転士に声をかけて停車してもらうことになったが、この先の交差点を越えないと停まれないらしい。信号待ちに時間をとられ、やうやく着いた場所は斎場の前。縁起でもない。

車内から乗客の一人が救急車を呼んだので、倒れた人は別の親切な乗客二人と一緒におりていった。50代くらいのやせた女性だった。大したことがなければいいけど、もし重い病気だったら、この斎場のことを嫌でも思い出すだろう。

呪いはまだ解けていなかった。どうにかバスは終点の日暮里にたどりついて、ぼくは東京か有楽町にもいこうと、駅に向かったのだが、なんと定期入れがない。バスに乗るときにバスカードを取り出したので、おそらくバスの中で落としたのだ。即座にもどったが、バスはもうどこにも見あたらなかった。パニック。

四苦八苦して、見つかったら連絡してくれるようバスの営業所に手配をしたが、食欲もなく、覇気もなく、祭りのにぎわいも上の空で、幽鬼のようにとぼとぼと歩いていたら鶯谷にたどりついていた。

5年ぶりの失策。呪われていたのはぼくの頭かもしれない。

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