一日しかない貴重な休みだが、季節はずれの暑さのせいで息苦しいくらいだ。東小金井から歩き始める。
東大通り(「東」と「大」の間で区切る)を北上していたら、オレンジ色のきれいなチョウがひらひらと視界をかすめた。捕虫網のかわりにカメラを構えたら、それに応じるように花の上にとまって蜜を吸い始めた。近づいても全然逃げる様子はない。「はい、チーズ」。あとから調べたら、ツマグロヒョウモンチョウのオスだった。実は、ぼくの撮りたいのはこういう写真でなく街の息吹を伝えてくれるようなものなのだが、でも結構よく撮れたのでそれなりにうれしい。
広大な小金井公園に入る。天気がいいので人が多い。江戸東京たてもの園に入って写真のコレクションを増やそうかとも思ったが、入園が4時まででぎりぎりアウトだった。その前ではブラスバンドの演奏をやっていて、聴衆がたくさん集まっている。露店がそのまわりをとりかこんでいる。その向こうでは何台ものクラシックカー。車には興味ないが、クラシックカーのフォルムはアートだと思う。いい年のおやじたちが、水着姿の女性をみるような目つきで、クラシックカーのまわりにたかっていた。
小金井街道に出てさらに北上。鈴木街道から定規をひいたようにまっすぐな多摩自転車道をどこまでも進む。小平を過ぎたところで、首にタオルを巻いた軽装のおばさんに追い抜かされる。負けていられないと、こちらもリズミカルに足を踏み出してみるが、見る間に離されていき、背中がどんどん小さくなる。荻山を過ぎたところで、引き返してきた彼女とすれちがう。完敗だ。
西武多摩湖線の八坂で散歩は終わり。9.2kmだった。[地図]
電車はなかなか来なかった。頭上の表示板に高架の駅の下をとおる車のヘッドライトがあたり、光をめがけて飛んでくる夜の虫のようだった。正面には金星がひとりぼっちで煌々と輝いている。時間はゆっくりと過ぎていった。
新宿に出た。タリーズでのどを潤してから食事する場所を探すが、例によってなかなか見つからない。新宿三丁目から舞い戻って、結局西武新宿駅前の大戸屋に入る。最近の大戸屋は、食前、食後のどちらに会計をするシステムか入ってみないとわからないが、ここは食後に会計型だった。鶏の炭火焼き定食青唐みそ添えにひじきをつけて766円。
再び新宿三丁目に向かってジュンク堂。グレッグ・イーガン『ディアスポラ』、茂木健一郎『脳内現象』、『スピノザ往復書簡集』を買う。『スピノザ往復書簡集』は廃刊になっていたのが最近復刊されたのだ。どこかのサイトで古本屋で偶然この本を見つけたときの喜びを書いていたが、復刊がその喜びに水を差しただろうと思うと気の毒だ。またいつ廃刊になるとも限らないので、ぼくは買えるうちに買っておくことにした。


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