
土曜の度に妖怪アメフラシが首都圏にやってくるので、おちおち寝てもいられない。とはいえ、空はまだ明るくて時折日射しがさしているので、いつもより早めに家を出て近場から歩き始めることにする。
東急大井町線の自由が丘の一つ手前緑が丘。中根小通りを都立大方向へ。途中写真を撮ろうとカメラを構えるが、ピピという警告音。本来メモリーカードがささっているはずのスリットには空虚が埋まっている。6日前のぼくや5日前のぼく、念のために1日前のぼくにも、ちゃんとさしておいてくれとお願いしたつもりだったのだが、そろいもそろって忘れたらしい。しょうがないやつらだ。へたっと体の力が抜ける。
都立大の手前で男子小学生の一団。中に一人アフリカ系の男の子がいて(ハーフかもしれない)、国際的だなと思ったけど、中身はふつうの日本の子供なのかも知れない。反対側の歩道を同級生らしい太った男子が歩いてくる。ネクタイを結び、ジャケットを羽織っていかにも盛装という感じなのだけど、どこか笑いを誘う風情がある。案の定、クラスメイトたちにネクタイを引っ張られて、やめろよといいながら赤い顔をしていたが、アフリカ系の子が率先してネクタイを引っ張っていた。
戯れに駒沢方面へ続く緑道に入り込んだが、すぐに環七を渡り放送大学の裏手の塀沿いの道へ。とうとう雨が落ちてくる。さすがに今日はカサを持ってきたので、躊躇なく広げて、蛇崩川緑道に入り込んだ。狭い道に人通りはほとんどなくて、数秒間目を閉じたまま歩くという遊びを試してみる。足裏にあたる地面の感触、まわりをやわらかく包みこむ雨音、頬をかすめるかすかな空気の流れ。目をあけると数m離れた場所にいる自分を発見する。悪くない雨だが、カサの中に閉じこめられるとまわりの世界の広がりが感じられなくなってしまう。
三軒茶屋の街にはいるとほぼ同時に雨がやむ。再び世界が広くなったので、久しぶりに太子堂の商店街に入ってみる。なんだか年月の分古びて寂れている印象だ。まっすぐ進むと三宿の町に入って、ちょっと道をそれ、烏山緑道を進む。途中北沢川緑道との分岐点があるがそちらの方向は一瞥するだけにして直進した。そこから先は目黒川だ。
池尻大橋から松見坂、神泉駅前、そして渋谷の街になだれこむ。南口の246を渡ったところにある牛角食堂に入った。まだ時間が早いので客はぼくのほかに帰りかけの一組しかいなかったが、ぼくがいる間に立て続けに入ってきて、少しずつテーブルが埋まってゆく。人のことはいえないが、渋谷の街からあぶれたものが集まっているような客層だった。プルコギ定食を注文。カレーをつけるとプラス100円ということなので、そちらもつけてみた。カレーは小皿にもられてきて、それを丼のごはんにかけて食べるのだ。あわせて880円。
外に出ると再び雨。山手線の線路沿いに新南口の先にあるタリーズまでいってみた。この前も雨の日にきたような気がする。椅子に座って本を読んでたら、なんだかとても眠くなってきた。
そのまま恵比寿まで歩いてしまう。12kmだった。[地図]

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