パブリック・スペース

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まずは秋葉原へ。ヨドバシでPS/2とUSBの変換ケーブルを買ったのだが、相変わらず混雑していて、レジの前に行列ができている。どんな安いものを買うにしても、一大決心が必要になってしまう。せっかくなので、ついでに何件かPCショップを見てから、再び電車に乗り込み、市ヶ谷から歩き始める。

千代田区側。静かな住宅地を抜けて雙葉学園前を通り過ぎたら、あっという間に隣駅の四ッ谷に出た。憲法9条を守れというデモをやっていて、警備の警官がたくさんいる。先導する車に「韓国が9条にエール」という貼紙がはってあったが、最近増えた感のある特有の思考回路をもつ人たちにはこの言葉は逆効果だと思ってしまった。ぼくは、少し前まで、自分で考えた憲法じゃなきゃいやだと駄々っ子のようなことをいう人たちをだまらせる意味でも、自衛隊の存在くらいは追記してもいいんじゃないかなんて思っていたが、最近は護憲派だ。でもデモには加わらず、土手の上にあがって、旗の群を見下ろす。その流れを見ながら、手帳に赤いボールペンで一生懸命書きつけている背広姿の男たちがいたが、何者だろうか。

人のあとについてはじめてホテルニューオータニの敷地内に入ってみた。一般人が入れるとは知らなかった。前を歩いていた人たちが従業員専用通路に入ってしまったのであせったが、掲示されていた地図によればこの先に日本庭園があるらしい。よくわからなかったので、あとからきた男女二人の後にくっついて足を踏み入れてみた。高価そうな鯉が口をぱくぱくさせている池のまわりに、同じくらい高価な衣装をまとった人々が散策している。曇り空と夕暮れのせいですっかり暗くなった林の中には高そうなレストラン。ちょっと不安になったが、迂回して進んでゆくと、ホテルの建物の入口があった。ホテルというものにからっきし不案内なので、入っていいのかどうかためらわれたが、何食わぬ顔で、ドアを開け汚れたスニーカーをすべりこませた。タリーズがあるし、どうみても宿泊客じゃない、ぼくと同じようなむさい服装の男がベンチに座っているので、パブリックなスペースらしい。ホテルというのは駅やデパートと同じようにパブリックな場所なのかもしれない。そこは2階だったので1階におりて外にでる。

弁慶橋を渡って外堀通りを進む。迎賓館前に出て、前方に再び四ッ谷駅が見えてきたので少し驚いた。裏道を抜けて四谷三丁目。慶応医大病院の前から神宮外苑。原宿駅前は、切符を買う若者であふれかえっている。Suicaを持ってないなんて田舎者だなと、内心つぶやいてみた。

山手線の線路沿いに渋谷の市街へ。先ほどから気にならないくらいの雨粒が舞っていたのだが、だんだん大粒になってきた。ステーキハウスのフォルクスに入ろうかと思ったが、待っている人が何組かいたので、定食屋のおひつ家にグレードダウンして、鶏と秋野菜の甘辛揚げ定食700円。十分堪能する。

さて、これから駒場で芝居をみることになっている。電車に乗るより渋谷から歩いた方が早いので、ブックファーストで少しだけ時間をつぶしたあと、散歩を続行することにした。

駒場アゴラ劇場到着。10.6kmだった。[地図]

雨はほぼあがっていた。闇と雨を吸い込んだ街を渋谷まで歩く。

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