白い吐息のようにおぼろげな輪郭だった冬が、12月に入ったとたん、リアルな存在感をアピールするようになってきた。主演女優賞をとりそうな勢いだ(冬は女性のような気がする)。
東横線の白楽から中途半端なにぎわいをみせる六角橋商店街を抜け、長いこと連れ添うことになる県道12号横浜上麻生道路にお目見えする。が、車を避けてすぐに六角橋北町商和会という名前ばかりの商店街に入った。商店は首都圏に降る雪くらいの頻度でしか現れず、あらわれたとしてもそこには商品の代わりに怠惰が積もっている。
岸根公園の中に入る。転がってきたボールを投げ返して、広場で日射しをたっぷり浴びた。鴨が群れ遊ぶ篠原池の脇から再び横浜上麻生道路に出る。何度か夕方通ったことのある脇道にはいるが、ぼくはそれを横浜上麻生道路から別の垂直に走る道路へ斜めにショートカットする道だとばかり思いこんでいた。実は、その先も横浜上麻生道路で、弧を描いてちょっと遠回りしていたのだった。SFでいうとワームホールを通り抜けたらすぐそばに出たようなものだ。
そのあとはしばらく横浜上麻生道路と二人三脚。新横浜に続く岸根の交差点を過ぎて鳥山川を渡ると未知の世界だ。風景がどんどんすさんでくる。小机駅に近づくとアーケードがついて一応商店街らしくなったが、実用性に乏しい、駅前ということを象徴的に示すだけの商店街だった。小机駅も無駄に広いロータリーが物寂しくて、外観だけ立派にした村の玄関口のようだ。
泉石寺の交差点。前回は横浜方面に進んでしまったが、今日は直進する。鶴見川を渡るはずなのだが、橋にさしかかるまでかなり遠く感じた。新川向橋を渡ると対岸は都筑区川向町。バスの終点になっているのでなじみのある町名だ。川向なんて辺境を指すような名前だが、工場に囲まれて、いかにも終点にふさわしい場所だった。
もう横浜上麻生道路にはすっかり飽きたので、脇道にそれたら遊歩道を発見。鶴見川の支流の江川沿いに作られた緑道だ。あっという間に終わってしまい、もう少し早く見つけていたらと後悔する。できてから間がないような広い道路の坂をのぼってゆく。行く手に団地が見えたので、ニュータウンが近いと思い、手前で曲がった。太陽はもう地平線の下に沈んでいて、空地の背の高い雑草越しにオレンジ色の残照が映えている。そちらに背を向けて東に進んでいくと、ようやく港北ニュータウンのにぎわいの端にたどりついた。
暗くなった緑深い遊歩道を進んでいく。紅葉をオレンジ色の街灯が照らして保護色のようになっていた。
やがて、センター南駅にたどりつく。11.9kmだった。[地図]
港北東急SCのレストラン街へ。前回もここにきたことを思い出した。それなりに広い割に手頃な店がなくて、前回はフードコートで食べたのだった。五十歩百歩だが、今日はふらんす亭に入る。ラム肉のレモンステーキとカレーのセット。申し訳程度のサラダとスープもついてくる。1380円。
同じ階にABCマートがあったので、靴を買うことにした。散歩用の靴なら楽しい買い物だが、今回買うのは通勤用の靴なので、むしろ義務感な買い物だ。かかとがすりへって、金具がとれてぼろぼろになっているのだが、休みの日は会社のことを考えたくないので、ずっと先延ばしにしていた。買うなら、こういうニュータウンのショップの方が、落ち着いて選べる。結局6900円という値頃なやつにした。散歩用ならもっと奮発するのだが。
タリーズへ。ニュータウンのカフェはどことなく雰囲気が落ち着いていて、くつろげる。
市営地下鉄で横浜に出た。一応ヨドバシを冷やかしてから、モアーズのタワーレコードへ。くるりの『NIKKI』とenyaの5年ぶりの新作『Amarantine』を買う。今ならポイント2倍だ。くるりの方はDVD付きの初回限定版。キャッチーな名曲ばかりで、すばらしいアルバムだと思う。enyaは1690円の輸入盤の方を買った。CCCDだったらどうしようかと思ったが、平気だったようだ。
成城石井でワインを買って帰る。


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