十二月もまた残酷極まる月だ。
一日過ぎてしまったせいか、十日市場に市はたってなくて、代わりに使い古した雑巾で拭いたような薄汚れた曇り空が迎えてくれた。街はすぐにどこかに退いて、荒涼とした冬の畑に囲まれる。畑というより荒地という言葉の方がふさわしい。
下台という交差点をすぎると突然街がもどってきた。両側の住居表示がさつきが丘としらとり台といういかにも不動産屋クオリティーの名前になる。一瞬雨が落ちてきたが、地面をぬらすこともなくあがる。といってもフィルムを逆回しにしたように雨粒が空に向かっていったわけではないが。
青葉台駅のガード下をくぐり抜けて右手の階段をのぼるともえぎ野という町に出る。坂を登り詰めたところにあるもえぎ野公園の池に住む嘴の付け根にこぶのあるアヒルはなかなか萌えだ。池からあがって首をまっすぐに伸ばしガーガーと自己アピールをしていた。
坂をくだると隣の藤が丘駅。広い道路が通ってとても見通しがいい駅前だ。駅の南側から坂を上って下り東名高速の下をくぐると、再び荒地に囲まれる。そのはるか向こうに東名のインターチェンジのらせん形を描く道路が浮かび上がる。天神橋で鶴見川を渡り、川和高校前(かわわという語感がおもしろい)から見花山。大きな店舗の並ぶ一角に出たので、早々とどこかの駅にたどりついたかと思ったが、2007年に開業する地下鉄四号線葛が谷駅の予定地だった。もちろんまだ乗ることはできない。
広い道路沿いをまっすぐ進む。センター南駅に着いたが、先週きたばかりなので、もう一歩先のセンター北駅を目指すことにした。光る観覧車が目印だ。早渕川が南と北の境界だ。いったんビルに隠れた観覧車が再び顔を出す。
到着。11kmちょうどだった。[地図]
センター南とセンター北なんて幾何学的で対称な名前だが、こうして比較すると南の方が圧倒的ににぎやかだ。北は一応阪急やモザイクモールなどの大型施設があるもののそれ以外は閑散としている
モザイクモールの蕎麦乃花という蕎麦屋に入る。十割蕎麦が売りだ。1155円の鴨せいろを注文したら、鴨汁のほかにふつうの蕎麦つゆがついてきて、不思議だなと思ったが、一口食べてみてその理由がわかった。温かい鴨汁につけると蕎麦のこしがへなってしまうのだ。蕎麦の風味を楽しむには冷たい蕎麦つゆの方がいい。十割蕎麦というとぱさぱさしているようなイメージがあったが、ここのはつるっとして喉ごしがよくて、おいしい。鴨汁はちょっと味が濃すぎて蕎麦湯で薄めても飲みきれなかった。
店内放送。都筑区のなんとか様、お伝えすることがあるので、どこどこまできてください、といっている。いきなりあなたの寿命はあと一週間ですとか伝えられたらどうしよう。
横浜に出る。スタバのラテはミルクが多くてコーヒーの味がほとんどしなかった。右側ではmixiで昔の知り合いから声をかけられたとかいっていて、左側では自分のBlogにつけられたコメントの話をしている。ネットもすっかり一般的になったものだ。
タワーレコードで空気公団『あざやか』を買う。落ち着いた女性ボーカルが特徴のしっとりした音楽だった。


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