ベテルギウスより近く

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寒波襲来であちこちで雪が降りまくっているらしいが、東京は快晴。その代わり強い北風が街中を楽器にしてグルーブしていたので、散歩をするのが危ぶまれたが、鷺沼に着いた頃には凪いでいた。そういえば、数日前から喉が痛くて今度こそ本格的に風邪をひいたかと思ったが、そちらも小康状態だ。

どういうわけか鷺沼は南側にしか改札が開いていないので、高架下をくぐって北側に出る。しばらく駅前通りを進み、サレジオの方に左折、陸橋を渡って東名を越える。

橋の向こうは犬蔵という町。地図やしばらく前の空撮写真をみても建物や道はあまりなくてトーストに青のりを塗ったような野っ原が広がっていたのだが、土地区画整理事業で地図にない真新しい道ができていた。右側は宅地用に細かく区切られ、左側は公園として整備中だ。まだ部分的にしか開通していないので、車はほとんど入り込んでこない。一台に追い越されただけだった。ちなみに、これが計画の全体像だ。

何度か曲がって未完成の道をなぞって、ちょっと先にもとからのちゃんとした道が見えてきたのだが、そこに抜ける道がない。間には砂埃たつ造成中の区画があって、1m近い段差でしっかりガードされている。ふと見ると段差の端に梯子が置いてある。工事関係者が作業用に置いたのだろうか。冷や冷やしながらよじ登りどうにかリアルな道にたどりついた。

住居表示がいつの間にか横浜市青葉区になっていた。尾根道を進んでまた川崎市にカムバック。北部市場の脇から尻手黒川道路に出て、平瀬川の支流沿い。蔵敷というバス停前からバス通りを西、脇道の坂をのぼって下ると平瀬川の本流が見えた。

生田駅に続く長い道は、ときどきにぎやかになって駅が近づいたと錯覚させる。何度目かでようやく駅のロータリーが見えるが、実際の駅はここからさらに奥に入ったところにあった。

小田急線生田駅到着。8.9kmだった。[地図]

下北沢に出た。定食屋千草で定番のにんにく醤油の揚げ豚定食。900円。小さく切った冷や奴がおいしい。ITとはかけ離れた雰囲気の店だが、ホームページができたらしい。結構ちゃんと作ってある。

南口のガードのところに行列ができていてライブかなにかかと思ったが、新規に開店した原宿ドッグが限定1000個無料で配っているのだった。おなかがすいていたらぼくも並んだのだが、食べたばかりなのでやめておいた。その先にはスーパーマーケットのオオゼキが開店していた。少しずつ下北沢は変わってゆく。

スタバでぬくぬくしてから、バスに乗るため新代田まで歩いた。ほかに待っている人はいないように見えたのに、バスが来た途端、わらわらと湧いてきた。

ちょっとうとうとして目をあけるとちょっとしたトラブルが発生していた。若い女性が乗ってきたのだが、バスカードは切れていて、しかもお金の持ち合わせがない。母親とはぐれたそうだ。ぼくの前方に座っていたおばさんが、親切なことに、彼女にお金を手渡していた。女性はとても感謝して、必ず返すので住所と電話番号を教えてくださいといったがおばさんの方は断った。親切を貫くというよりもたかだか210円でかえって面倒ということなのだろう。女性の方も生真面目なようで、母に怒られますといって譲らない。iPodを聞いていたので、顛末はよくわからなかったのだけど、とりあえず二人とも納得した。ぼくがおばさんの立場ならどうするだろうと考えて思いついたのは、歳末助け合いとかその手の慈善事業に寄付してくださいということだった。ほかに二人とも納得する方法はないような気がする。

家路をたどりながら空を見上げるのが日課になっている。青白い大粒の宝石のように輝くシリウスがちょうど顔を出したところだった。みかんを食べ過ぎたように黄色っぽいプロキオン、カブトムシの汁(ビートルジュース)と同音で赤いベテルギウスとあわせて冬の大三角形だ。シリウスもプロキオンも比較的近く(10光年前後)にあるのだけど、ベテルギウスは400光年以上も遠くにあるらしい。今日歩いた距離の何倍だろう。思いだけはせてみる。

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