横なぐりの雪で外に出るのが危ぶまれたが、いったん出てみれば、積雪もほとんどなくむしろ雨よりも楽なくらいのものだった。
まずは雨雪の日の美術鑑賞ということで初台へ。オペラシティアートギャラリーでは、「アートと話す アートを話す」という展覧会をやっている。「ぼくアート。よろしく」とか相手をしてくれるアートがいるわけじゃなくて、作品を展示するだけでなく、作品に関する質問が書かれているワークブックを配布して作品をみながら考えることによって、より深く現代アートを理解してもらおうという企画だ。
会場に入ると、女性ばかりの一団がやってきて一枚の絵の前に車座になって座った。気圧されてぼくは避難する。中の一人が立ち上がって説明をしていたが、普通のキュレータトークと違うのは、キュレーターが観覧者に質問をして、観覧者がそれに対して積極的に答えているところだろう。「この絵の四角がもし丸だったらどう感じますか」という質問に対して何人かが適切な回答をしていた。この展覧会では、ギャラリークルーズといってこういう形式の催しを実施するそうだが、今日は実施日ではない。あとから考えたら、説明員の人たちが練習としてまわっていたのかもしれない。回答が適切だったのも頷ける。
展覧会の性格からか、展示されている作品は現代アートの典型を寄せ集めたという感じで統一性を感じられなかった。作品の作者、タイトルがはり出されていなくて、冊子を見ないととわからないのはまだいいとしても、ワークブックとの関連を調べるのに、冊子で位置を確認して、それからワークブックの該当ページを探すというのはなかなか面倒だ。作品のそばにワークブックのページを掲示しておくのが親切ではないだろうか。ワークブックの質問も「~についてどう思いますか」のような抽象的なものが多く、一人で考えるためのものというより、さきほどのクルーズ形式で使うのが本来の姿なのだろう。
ヴィデオのアート作品は難しい。内容が、ではなく、タイミングが、だ。どうしても途中からみることになるので、集中力をもって楽しむのに苦労する。シルヴィ・フルーリーという人の作品は3つの横に並んだスクリーンにカメラの位置が異なる映像が映し出されている。登場人物はモデルのような女性ばかり。自動車の修理工場で車を乗せたリフトをひたすら上下させるという作品があって、かなり長いことつきあった。すべての作品をみると1時間以上かかることがわかったので、さすがにこらえきれず先に進む。
隣のブースでは、恰幅のいい裸の中年女性の上に粉が大量におちてくるという、かなり屈折したサディズム映像と思いきや、最後に女性がその粉を使ってパン生地を練り上げるという、感動巨編に仕上がっていた。
上の階の抽象絵画展とぬいぐるみの絵専門の若手作家の作品を流し見て、会場をあとにする。ワークブックは返却することになっている。
地下の新宿サボテンでデリシャス定食という「ほかはデリシャスじゃないんかい、ゴルア」という突っ込み多数の料理をたべる。カレーメンチ、クリームコロッケ、ゆばの揚げ物。ゆばを和風のたれにつけるとなかなかおいしい。1280円。
こちらではところどころ雪が積もっているので、電車で新宿に戻った。今日の外出の目的である、チノパンの受け取りのためGAPに寄ったあと、ジュンク堂をのぞく。ジュンク堂は確かに本の冊数はピカイチだが、新刊本の入荷が遅い気がする。久しぶりに南口タイムズスクエアの紀伊国屋へ。長い間在庫切れだったが、ようやく増刷されたグレッグ・イーガン『順列都市(上・下)』とサンテクジュペリ『人間の土地』を買う。今年は海外小説をたくさん読んでいきたいと思う。
代々木駅前のタリーズであたたまるカプチーノ。雪は降りやまない。


コメントする