技のデパート

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空に傷口が開いて、そこから膿がしみだすみたいに、じくじくと雨がそぼふっていた。そんな雨をはすに構えて受け流しながら東京都現代美術館へ。ふだんは2つくらいの企画展が同時開催されているのだが、今は全館挙げて大竹伸朗の回顧展『全景』が開催されている。回顧展というともう死んでしまった人か、生きていてもかなりのお年を召しているような気がするが、大竹伸朗は1955年生まれでまだまだ若い。

全館を埋め尽くす作品の数々に圧倒される。これだけのものを一人で作ったとは驚きだ。スタイルや手法もさまざまで、ピュアアブストラクトなものからポップアート的な通俗なものまで、相撲でいえば舞の海のような技のデパートだ。そこから感じられるのは、孤高な創造力ではなく、たくさんの出会いを吸収して自分のものとする柔軟さで、そのバイタリティがみているものに元気を与えてくれるのだ。ただし、同時に疲労も与えられる。休憩コーナーのベンチには体調を崩した若い女性が横になっていて、係員に声をかけられていた。それでも、まだ作品を観ようという意欲を失っていないようで、しきりに閉館時刻を気にしていた。また別の日に来られるように、チケットをあげればいいのにと思った。

少年時代、学校で描かされた絵も展示してあって、色遣いなんかに才能の片鱗を感じさせる。音楽にも手を出しているのに、なぜか動画作品がほとんどなくて、このあたり意識的に避けているのかと思った。まあ、これからはじめても全然遅くないと思う。

特に日本景というシリーズが面白かった。「美しい国」とは正反対のところで、日本に広がるパチンコ屋、工場などのキッチュな風景。それをみていて絵心の回路が自動的に作動するのを感じて、描き続けたという連作だ。ユーモラスでポップで写真的だった。

芝居をみるため東京を東から西に横断して、吉祥寺へ。黒胡麻担々麺は辛さおさえめという割に辛かった。雨はようやくあがろうとしていた。

天気
飲み食い
香港食卓(吉祥寺):黒胡麻担々麺セット-1180円
イベント
東京都現代美術館『大竹伸朗 全景』-1400円
青年団『ソウル市民 昭和望郷編』
買い物
ビックカメラ(渋谷):カメラ清掃用具-1235円

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