遠くから祭り囃子が聞こえたが、それとはまったく無関係に光が丘から歩き始めた。厚い雲がたれこめてはいたが、青空のスペースもかすかに確保されていて、ときおり寝ぼけた日射しがさしこんできた。
大泉学園方面に向かうという焦点のぼやけた目的だけで歩いていたせいだろうか、ほとんど写真が撮れなかった。この季節鮮やかなのはアジサイ。目白通りを渡ったところにある小公園では青色のアジサイばかりが群生していて、とても目に心地よかった。雨を呼んでいるような色だ。
大泉学園駅を通り越したものの、すぐに気力が萎えて、一つ先の学芸大付属前というバス停で散歩を終える。
すぐ来るはずの吉祥寺行きのバスはいつまで待っても来なかった。折悪しく、雨がぽつぽつと落ちてきた。雨に打たれて15分以上待ってようやく来たバスは満員で、スピードをゆるめることなく停留所前を通過していく。仕方なく、ほんとうに仕方なく、その後に続いていた阿佐ヶ谷行きのバスに乗り込んだのだった。
阿佐ヶ谷には書店・雑貨屋のヴィレッジヴァンガードはないが、代わりにハンバーガー屋のヴィレッジヴァンガードがある。店員の物腰が丁寧かつフレンドリーという絶妙のバランスを保っているのがいいし、もちろん料理や飲み物もおいしい。健康診断で肝機能の数字がよくなかったので、アルコールは控えめにしているのだが、今日は解禁。ギネスを1パイント注文して、小さな幸福感を手に入れた。それは何度でも繰り返すことのできる種類の幸福で、舌先だけ永遠に触れたような気がした。


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