急激に寒さが訪れたせいか持病が疼きはじめ、それにひきずられるように精神状態もどん底だった。
沈殿した生気をすくいあげてどうにか外出に成功し、京成線の青砥にたどりついた。東京の東側はあまり歩かないが、その中でも青砥は自分でも意外に思うほど来たことがなかった。アクセス的には、上野あるいは日暮里から一本でいけてしかも快特(いつの間にか京急をまねてそんな種別ができていた)・特急停車駅なので、とてもいいのだが。
駅から少しいくとグルメシティというスーパーがあって、ちょっと前までセイフーという名前だったはずだと思い、にやりとした。青砥、セイフー、よよいのよいで、野球拳の成立だ。名前を変えなければよかったのに。
青砥からお花茶屋まではそれなりににぎわっているし、にぎわっていないところでも葛飾区の中心部としての矜持があって、歩いているうちにちょっと気分が改善してきた。お花茶屋では駅名や地名として残るほどのお花の美貌に思いをはせる。
お花の魔法もそこまでで、急速に傾いた太陽が照らし出されて、街は裏寂れた姿をあらわにしはじめた。荒川沿いの首都高が障壁のように立ちふさがって、場末感が充満する。負の感情にドライブされながらどうにか新小岩にたどり着いた。
横須賀線直通電車で品川に出て食事をしたあと地元の床屋へ。大きな鏡の中のぼくはまだいけるという顔をしていて、それをみたらようやく人心地がついた。床屋を出たら今日とは別の新しい日がはじまるような気がした。


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