結局、秋葉原から新宿まで、まるで近所のコンビニにいくように何の冒険心も好奇心もなく歩き通してしまった。ただひとつ心を動かされたのは母校のすぐそばにある路地の風景で、ぼくはその路地の存在ごと記憶から消し去っていた。路傍の建物のドアや窓格子の意匠が心を強く揺さぶるのだけど、そんなものを覚えている理由さえ見当もつかないのだった。
今日芝居を観る予定の紀伊國屋書店前に早々とたどり着いた。食事をする場所を探すが、東口はごみごみしていて身を滑り込ませる場所をなかなか見つけることが出来ない。いつものように西口まで脚をのばした。
観劇を終えて夜の街。あちこちで手袋が片方だけ落ちているのを目にする。最近片手だけ手袋をはめることがはやっているのかもしれない。


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