予報は雨で、それが間違いでないことを証明するために、ときおり雨が落ちてきた。そんな神経戦的なゲームにつきあうのがばからしくなって、散歩はやめることにした。
恵比寿ガーデンプレイスの広場では歓喜の歌の合唱。澄んだ歌声に聴き入っている人々は、気がかりはこの天気だけという顔をしていた。
写真美術館で二つ展示をみた。まず「文学の触覚」。文学とアートのコラボレーションがテーマだ。テキストもイメージももともと情報を伝達するためのものだけど、どうしてもそこにはエラーがまぎれこんでしまうが、そのエラーを逆手にとりわざと増幅してうまれたのが文学やアートというものだ。コラボレーションということで、テキストのエラーがイメージに伝わり、イメージのエラーがテキストに伝わってどんどん形を変えながら増殖していくとおもしろいと思ったが、なんだか、テキストという確固としたものがあって、イメージはそれを説明したり演出をつけたりしているようにみえた。つまり印象に残ったのは圧倒的にテキストの方で、壁に貼られた松浦寿輝の幻想的な短編小説、螺旋階段をのぼっていくような谷崎潤一郎の『陰影礼賛』、突然足下を揺るがされる川上弘美の「質問」、穂村弘のヴィヴィッドな短歌などなど。
もうひとつの「スティル/アライヴ」は新進作家4人の作品を集めたものだが、あっけなくて、あっという間に通り過ぎてしまった。写真美術館にきたのに、ほとんど写真をみなかった。
渋谷にいって中古CD屋レコファンにいってみる。映画「転々」をみてから音楽に使われていたMOOONRIDERSのブームが再燃していて、手持ちのCDを全部IPodにいれたのだが、一枚だけ見つからないCDがあった。一度買ったものだし、しかもまだ安価に再発などされていないので、できれば中古などで安価に入手したかった。レコファン渋谷店の品揃えはなかなか素晴らしく、マイナーなMOOONRIDERSのCDすらかなり充実していたが、残念ながら目当ての「Bizarre Music for You」はなかった。
実は新品の入手すらそんなに簡単じゃなくて、タワーレコードの中でも渋谷店でしか発見できてなかったので、迷ったが、別の目的もあり、いったん新宿に向かうことにした。
結局、新宿では、食事をしたことと、MOOONRIDERSのCDをあさる白髪交じりの男性の姿を目撃しただけで、釣果むなしく、秋葉原に場所を移す。
別に秋葉原にあてがあったわけではないのだが、そういえば中古CD屋が何件かあったことを思い出して、中央通り沿いのリバティーという店に飛び込んだら、奇跡的にそのCDを発見することができた。値段は1239円と半額以下でしかもなかなか良品だった。自分が探しているものをこんな形で入手できるととてもうれしい。一足早いクリスマスプレゼントのようだった。
影ながらもうひとつさがしていたWii Fitは秋葉原でも入手できなかったので、最後の希望の砦、有楽町のビックカメラに向かうが、もちろんそこにもありはしない。今日は、恵比寿、渋谷、新宿、秋葉原、有楽町と無軌道に街をさまよった。
ビックカメラの店の隅に衝立が設置され中に救急隊員が忙しそうに何かをしていて、プシュッというような破裂音がもれきこえてくる。客が倒れて救命作業をしているのだろう。ひょっとして予約していたWii Fitを入手して帰るところだったのかもしれない。人生色々だ。
ガード下に陣取っていた眼鏡っ娘の占い師が、ぼくの顔をみるなり、灯りを消し、そそくさと店じまいを始めた。今日ももう終わりだ。もうすぐほんとうに雨がやってくる。
- 天気
- 小雨
- 写真
- 2/9
- イベント
- 東京都写真美術館(恵比寿):「文学の触覚」、「スティル|アライブ」-1000円
- 飲み食い
- カレーうどん千吉(西新宿): 黒カレーうどん+ちくわ天-900円
- 買い物
- リバティー(秋葉原):MOONRIDERS『Bizarre Music for You』-1239円


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