寒くなる前に横須賀にあるうみかぜの路という遊歩道を歩いてみたかった。JR横須賀駅から観音崎まで海沿いに10km以上続いているという。素直にJRでいってもよかったのだが、京急蒲田駅の高架工事の様子がみたかったこともあって(あと運賃も安いので)、京急でいくことにした。高架は駅の真上...
菊名は東急東横線の特急停車駅で、JR横浜線との乗換駅でもあるのだが、駅前はほんとうに閑散としていて、足を一歩踏み出しただけで、静かな住宅街にまわりを取り囲まれてしまう。 上下左右にのたくる迷宮のような道を進んでかなり東横線の線路から離れた気がしてたら、目の前を走るのはまさにその...
西武立川駅は名前からするとJR立川駅から目の前みたいだが、その間は西武新宿駅とJR新宿駅の距離の比ではなくはなれていて、広大な昭和公園とその他森羅万象が横たわっている。 その西武立川の駅舎からでると秋のおだやかな日射しとのどかな郊外の風景が出迎えてくれた。線路際にはツマグロヒョ...
都市伝説によると東京の地下には猫ぐらいの大きさのドブネズミがいるらしい。そんなドブネズミをピースにしてジグソーパズルを完成させたかのような空の下の暗い、暗い日曜日。最終的に目が覚めたのは昨日と同じ午後2時、ある意味規則正しい生活だ。 中野から歩き始めるが、少なくとも今日は中野の...
第1世代のiPod touchをぽちゃんと落とすと水の中からスティーヴ・ジョブスの顔をした女神さまがでてきて、あなたの落としたのは第2世代のiPod touchですか、それとも第4世代のiPod nanoですか、とのたまう。もちろん代金はすべてご負担いただきますが、と小さな声で...
夏の名残のドリンクをストローで飲み干すときのような音をたてて、一気に気温がさがり、晩秋のような気候だった。空は上演終了後の映画館の銀幕のように重く暗く、ときおりかすかにほおに感じる雨粒は、フィルムの傷のようだった。 無意味に銀座に寄り道してから鶯谷に出て散歩開始。一応、都心方向...
西武池袋線に比べて、西武新宿線(および拝島線)は列車の種別が少ないし速達性に劣っていて、軽視されていると思っていたが、いつの間にか拝島快速という種別の電車ができていた。田無より先各停になってしまう急行を尻目に、花小金井を通過し、小平からは名前の通り拝島線に入り、三駅通過という大...
快適な秋の日射しが街をオレンジ色に染め上げていた。 日野駅前から西北西にのびる道、子犬のように左手につきそってくる水路は、昨日までの雨を受けて激しい勢いで流れている。いつまでもついてくるかに思えた水路も谷地川という一級河川に吸い込まれ、ぼくもまたその先で右折した。 ぼくの視線の...
大自然ご提供の目覚ましが妙な時間にぐらぐらと作動して、頭はくらくら。もう一度寝直して目覚めると、雨音がしとしと。髪の毛がうっとうしくなってきたので、じょきじょきしてもらうために理髪店に向かう。 いきつけの理髪店はやけにすいていた。スタッフの人たちは手持ちぶさたで外の雨をうらめし...
シンラコウこと台風13号は東の海上でまどろんでいて、その夢の中でぼくたちは秋の日射しをあびている。 アパートの階段の手すりのところにカマキリ(腕の付け根が赤いところをみるとチョウセンカマキリらしい)がじっとしていた。昨日の風雨を生きのびてほっと一息というところだろうか。重いので...
そしてしめくくりはニコチンとタールで塗り固めたようなどす黒い空。それとペアでワルツを踊るように、頭もどんよりしている。 日本橋の中洲に家族向けの高級住宅街を作ろうとする、佐藤春夫の『美しき町』という小説を読み終えたばかりだが、芝浦アイランドは水辺という立地が似ているし、その21...
昨日と寸分違わぬ気候。どうしても昨日の散歩コースの空白部分が確認したくなって、高円寺で途中下車する。いくつか可能性を消去できたが、結局間違いなくこの道を通ったという確信は得られなかった。実は宇宙人にさらわれていたのかもしれない。 高円寺駅に戻って中央線でさらに西に向かおうとする...
ぷにょぷにょした巨大な塊のような夏の名残の熱気が残ってはいるが、もう真夏のように汗をとめどなくしたたらせることはなく、自分の身体で秋の訪れを感じる。 高円寺から小田急線沿線を目指す。だらだらと続く商店街から住宅街にはいってから、地名でいうと高円寺南から阿佐谷南にはいってからの、...
南武線が多摩川を渡る直前の駅、南多摩で下車する。西の方角には樹木が鬱蒼としげる山肌がそびえていて、いったん南の人工的な住宅地向陽台に向かいそうになるが、結局は山の呼び声に答えてしまう。 川崎街道は両側の山の間を縫うようにのびていて、それ自身なだらかにのぼってゆく。ぼくは移送中の...
そっと忍びよるように9月はやってきて、誰にも知られないまま片隅にうずくまっていた。 土曜の浜松町駅はスーツケースをひきずったモノレールの利用客ばかりで、そんな人波ともいえない人波にまぎれこむようにモノレールに乗り込む。モノレールからのぞき込む臨海の町は、真新しいオレンジ色の光を...
世界の終わりを告げるような連日の雷雨の隙間に現れた青空。もくもくと膨らんだ白い雲に悪意はみじんも感じなかった。 散歩の前に、渋谷でCDを買うついでに、先週末の夜見つけた、王様のかっこうをして携帯電話を見つめているひげ面の男の人形のようなものを昼の光の下で撮ろうと思っていったら、...
Yet Another Rainy Sunday...昨日と双子のような小雨まじりの天気だ。 記録上埼玉県さいたま市を歩いたことは一度だけあるのだが、実はそれは市の境界線をかすめただけの誤差のようなもので、このあたりでちゃんとさいたま市に足を踏み入れておいた方がいいかもしれない...
Google Street Viewは町歩きが趣味のぼくにとって楽しくてかつ実用的な(歩いたコースを確認するときに使える)おもちゃだが、プライバシーとか治安とかで不安に思っている人もいるようだ。想像はできても、実感として彼らの気持ちはわからないのだが、他者の存在に希望を一切感じ...
目が覚めて、空気のさわやかさに小躍りするが、時計をみて驚愕し、さらにぽつぽつと落ちてきた雨に落胆する。 保険をかけるつもりで上野に向かったが、案の定上野に着いたときは本降りになっていた。まだはじまったばかりだが会期中に絶対見ようと思っていたフェルメール展へ。待ち時間10分というこ...
予報では夕方から雨で、現状はぎらぎらと残酷な太陽が照りつけている。どちらも散歩には向かない気候だが、その移行の隙をとらえて歩けないか、そんなことを考えた。移行の足音は思ったより早くやってきて、渋谷に着いた頃には、もう厚い雲が空一面を覆っていた。あまり猶予はなさそうなので、井の頭...
海まではまだ直線距離で2kmくらいあるんだけど、辻堂駅前からのびる商店街にはすでに海辺の開放感がただよっていた。潮風は期待をはらんで沈殿しがちな寂れの成分を吹き飛ばしている。今日もまだ、昨日の涼味が残っていた。 その商店街を進むうちにいつの間にか茅ヶ崎市に入っていた。はじめて歩...
このところの気候だと散歩はできないと思っていた。いずれにせよ、暑苦しい髪をどうにかしなくてはならない。髪を切りにいく道すがら、凶悪な日光が雲に遮られているばかりか、意外にも涼やかな風が挨拶をしてきて、これは歩けるんじゃないかと微かな希望を残してくれた。 散髪が終わって外に出ても...
二日連続にして、久々のマチネの観劇。いつもソワレをみるときは、散歩→食事→観劇という順番だが、今日は食事→観劇→散歩という順番にする。 食事はパスタ。あつあつで食べているだけで汗が噴き出してくる。おみやげにイタリアのミネラルウォーターをもらう。ただでさえ重い鞄がさらに重くなった...
22時過ぎの変な時間からはじまる芝居をみにいくためにぼくは渋谷で電車を降りた。ふつうならそこから劇場まで歩くのだが、今日は連れがいるので電車に乗ることにした。乗り換えの近道をするため古びた日本家屋を通り抜けようとするが、昼間はあいていた通路がふさがれている。不安にかられながら迂...
手動開閉式のドアをあけてホームにおりたつと、包み込む空気は案外気持ちよくて、夏以外の季節の存在を思い出させてくれた。それは微かに頭をぬらしている雨粒が運んできたものかもしれないが、すぐに観測限界以下に弱まった。 それ以外にそれらしき道はないから、改札前の踏切から伸びる道がつまりメ...
去年までうずたかく積み上がっていたぼくの夏服は、集団でどこかに失踪してしまったらしく、今年は一度も姿を見せない。そのうち帰ってくるだろうと、長袖の服をごまかしながらきていたが、このところの猛暑でもう我慢できなくなってきた。また、散歩で酷使しているパンツもあちこちにほころびがでて...
昨日のスーパードメスティックな空気にあてられて、ちょっとこれはアメリカンな香気で中和しなければということで、遠路はるばる福生まで行く。知らない人は読めないと思うので、読み仮名を書いておくと「ふっさ」。耳毛ふっさふさとか、現象学といえばふっさーるとか覚えればいいと思う。 東口駅前...
擬人化していうと、夕涼みと待ち合わせをしてから出かけようと思っていたが、出会えないまま時間ばかりが過ぎ去り、もう遠出はできなくなっていた。比較的近場でもっとも想像から遠い場所ということで、川崎から京急大師線に乗り込んだ。 車内を埋めていた乗客は川崎大師であらかた降りてしまって、...
梅雨明けは現状の追認としてやってくる。 夏の盛りの日射しをさけて夕刻から歩き始めてみると、風は案外涼やかで、帆をいっぱいにふくらませたヨットが水面でなく脳裏に浮かぶ。 秋葉原から、歩き慣れて既視感を感じる街並みを通り抜けてゆく。門を開け放って開放的な九段のフィリピン大使館からは...
京急の横須賀中央駅でおりると、その名の通り、横須賀中心部のにぎわいに包まれる。明らかにほかの街とちがうのは見慣れない白い制服姿の若い男性が目につくことと、外国人のなかでもアフリカ系の比率が高いことだ。横須賀は軍港の街なのだ。 何やら行列と鳴物らしき音がやってくるので祭りかと思っ...
道の向こうから理非曲直をただす日光のウェーブが歩くような速さでこちらにやってきて、すべては光と陰に分かれ、ぼくは真夏の月島の路上にたたずんでいた。 すぐに暑さがたえがたくなって、隅田川河畔の佃公園に逃げ込む。昔は足繁く訪れた場所だ。はじめて買ったデジカメで最初に撮ったのはここの...
七夕前日。昨日より風がある分だけ過ごしやすい。 日吉まで延長された東急目黒線に乗ってみることにした。延長されたのは6月22日のことなのだけど、都内で芝居をみる日や雨が続いたりして、なかなか乗る機会がなかった。延長といっても東横線と併走する区間が武蔵小杉から日吉までのびるだけで車...
夏が待ち遠しい、と思ったのは今年の梅雨がかなり本格的で、しかも週末をねらいすましたように雨をぶつけてくるせいなのだけど、30分後に前言撤回。団子状態の熱気に包まれて汗がとめどなくしたたってきた。 高尾といえば高尾山だが、今日は高尾駅から高尾山とは逆の八王子市街に向かう。高尾駅前...
日曜なのに雨はフルタイム勤務で、雨音はまるできりのない愚痴のようだった。出かけたのは、ちょうど雨が遅いランチタイム休憩をとっていたときで、このまま天気がもつのかどうか、ぼくは困難な判断を求められた。 結局、今年の雨の粘着質な性格を見越して、六本木ヒルズの森美術館にいくことにする...
6時から芝居なので、さすがに早めに出る。 久しぶりの吉祥寺。さらに久しぶりの井の頭公園のにぎわいを通り抜けていったん外にでる。池の周りとか、ジブリ美術館とか井の頭公園のメジャーな地域はほとんど三鷹市に含まれるが、その間の地味な木陰は武蔵野市に入っていて、そこから再び公園に入り、...
開け放った窓から流れ込んでくる雨音は、物好きな近所の誰かがスピーカーからならしているわけじゃなく、これ以上ないくらいリアルな土砂降りなのだった。 久しぶりに髪を切りにいきつけの理髪店にいってみたら、これまで5年以上の長きにわたり強情で性根の曲がったぼくの髪を切ってくれた人が転勤...
これで4回連続で副都心と呼ばれる場所を歩いているのは、副都心線開業のせいというよりは、出かけるのが遅くて遠出ができないせいだ。明治神宮前から乗ったその副都心線は今日もまた遅れていた。 北参道駅はJRでいうと、千駄ヶ谷から代々木に向かうのに、ちょっと原宿よりに寄り道をしたような場...
時計の長針はもうすぐ真上をさそうとしていて、短針はそれより150度くらい先行していた。 新宿駅東南口下の路地では男女混合の5人組が普段着で舞い踊っていた。いかにも何かの練習という感じだったが、それなりに楽しそうだった。 警官の姿が目立つ歩行者天国をくぐりぬけて、新宿文化センター...
本日のdutyの切りがちょうどいいという神話を急遽でっち上げて、今日開業した副都心線に乗りに行く。しかし、都庁が新宿に移転して17年たった現在、副都心の「副」はもうとっくにとれていると思っていたのだが、新線の名前で復活するとは意外だった。 副都心線の渋谷駅はJRの駅から駅一個分...
秋葉原で凄惨なやりきれない事件が起きた。どこか地方の知らない場所で起きるのと、何度となく訪れている場所で起きるのとではインパクトがぜんぜんちがう。被害者になってしまった人とぼくとを分けるのはただ偶然という要素しかないのだ。散歩する場所を選ぶのもいのちがけだ。 ほんとうは郊外を歩...
久しぶりの土曜の太陽。まるで病み上がりのようにいつまでも寝ぼけ眼で、ぼくはその太陽がみている夢の中にいるようだった。 二度目の日暮里舎人ライナーでおりたのは足立小台駅。隅田川と荒川に挟まれた地域を下流からたどると、まずは江東、墨田という二つの区をまるまる飲み込む巨大な島で、それ...
通勤電車から一瞬垣間見える異国めいた街並、なんていうほどのこともない汐留のイタリア街なのだけど、そろそろ永遠の未完成状態は脱して街としての体裁を整えているかな、とのぞきにいってみたが、集客施設は場外馬券売り場のオフト汐留だけで、その周り以外は相変わらず閑散とした空気が流れている...
今日も舞い飛ぶ小糠雨。まだ梅雨前だというのに週末ごとに雨が降るような気がする。だが途方に暮れる必要はない。森山大道展をみに恵比寿ガーデンプレイスの東京都写真美術館に向かうのだ。 路上写真家というだけあって、彼の写真は即興的な躍動感にあふれている。実際の撮影スタイルをみると、コン...
公認スポンサーのロゴマークのように、二日とも雨マークがついていた今週末だが、何と二日ともあまり雨に悩まされることなく散歩ができてしまった。そのせっかくの幸運をあまり生かしきれなかったような気がするのは、まあいつものことだ。 京王線の高幡不動駅におりたったのはもう4時近かった。今...
午後はずっと雨だと思い込んでいて、ちゃんと雨の中行く場所まで準備していたのだが、雨はまだどこかで道草をくっていて、歩けるときに歩いておくかと、半信半疑ながらここではないどこかに向かった。 そのどこかはいったん信濃町に確定したのだが、意識と意識の合間に通り過ぎていて、結局一つ先の...
「郵便局にあやうくカメラを忘れるところだった」という文は、つまり結局忘れずにすんだということを意味している。 京急の快特は、車窓の風景がすべるように移動して文字通り快いのだが、それも横浜までで、その先はカーブが増えて徐行がちになる。 降りたのは新潮文庫でも岩波文庫でなく金沢文庫...
アメ横のすぐ脇のガード下には、骨折した魚の骨状に通路が広がっていて衣類や靴・鞄などの店舗がひしめきあっている。もちろん存在にはうすうす気がついていたけど、こんなにみっしり詰め込まれているとは思わなかった。高架線路が二つに分かれて、ウミヘビのような細身の空が見える路地には飲食店が...
雨上がりのさわやかさとはほど遠い肌寒さに出迎えられて、西武池袋線の東久留米から歩き始める。 駅舎からすぐそばにテラスがみえるのだが、そこにたどりつくにはいったん駅の外に出て、見つけにくい階段をのぼっていかなくてはいけない。富士見テラスという名の通り眼下に一直線に伸びた道路の向こ...
骨折しがちなスポーツ選手のように、最近すっかり雨がちになってしまった休日だが、今日はもう大腿部複雑骨折のような本降り。イレギュラーにめぐってきたチケットがあったので、六本木の国立新美術館で開催されているモディリアーニ展へいく。 アフリカ美術に影響をうけたプリミティヴィスム時代の...
絶妙にエアコンディショニングされた空気。スカイブルーがどんな色だったかようやく思い出した。 もともと東久留米市の滝山団地を目指すつもりだったが、池袋で西武線でなく東武線に乗ってしまった。ちょっと助走をつけるくらいのつもりだったのだけど、和光市から先で東武線は大きく北に弧を描くの...
今日もまた締め切った物置のように薄暗い空と羽虫のような霧雨。さらに、ぐずぐずして14時30分をすぎてしまったことや、体調がしゃきっとしないことなど、悪条件が重なる中、一気に大船までいって、度肝を抜く。抜いたのがだれの度肝かまでは知らない。 大船は神奈川県鎌倉市に属する街だが、山...
メモリーカードを忘れたことに気がついたのは渋谷に着いたのとほぼ同時で、そのせいでそこから吉祥寺に出るという選択肢はあっけなく潰えた。肩に提げたカメラがこのまま無用の長物になってしまうのもしゃくなので、ビックカメラで買うことにしたが、思ったより高かった。たぶん秋葉原だったら半額近...
次に起きる出来事をあらかじめ知っていたようにぼくの視線は赤いジャケットを着た白髪の男に引きつけられ、彼は1ヶ月間ずっと練習していたような確信に満ちた足取りでホームから線路に身を躍らせた。ジャストタイミングで電車が滑り込んだが、何の音もなく、ただ何か液体のようなものがこちらまで飛...
何はさておき散髪へ。少なくとも頭の外側だけはすっきりして古巣の鶴見から歩き始める。 タイムトンネルのような鶴見線国道駅を通り抜けると魚河岸通り。祝日の午後なので当然のように閑散としているが、今でもちゃんと魚市場として機能しているのだろうか。 JRの線路をまたぐと、うってかわって...
今日は晴れ。傾いた日差しをあびて街並みが立体的に見える。近くのビルが遠方のビルを追い越してどんどん後ろに流れ去ってゆく。まあ、それは晴れでも雨でもそういうものだが。 中央線の三鷹、国分寺間の高架工事も佳境に入って、下り線のみ高架線路が利用されているが、間の三駅、武蔵境、東小金井...
暗い暗い空から、調子はずれのリズムで強弱をつけながら雨は落ちてきていて、それにあわせてぼくは傘を開いたり閉じたり忙しい。 雨だけでなく人も落ちてきやしないかとこわごわと池袋パルコの脇をかすめて、猥雑な街に足を踏み入れる。立ち並ぶのは風俗、ギャンブル関係の店、それに全面ピンクで塗...
そして、ようやく雲間からのぞく太陽。あら、ずいぶんとお見限りだったわねえ、と場末のバーのマダムみたいなことをいっておきたくなる。 読んでいる本をまたしてもなくしてしまったらしく、探したり買い直したりしているうちに時間が湯水のように流れ去り、その流れに乗って運ばれたのが新橋だった...
予報は曇りだったが、不穏な風がどこからか雨雲をスカウトしてきて、ぼくの頭上ではずっと雨が降っていた。 今年初めての埼玉散歩、埼京線の戸田から歩き始める。戸田から川口にかけては地形が平坦で道も直線的だ。華やぎはないけど、早くから開けた場所の余裕からうまれる開放感のようなものがそこ...
予報は曇りだったが、微妙な雨が落ちてきていた。のるかそるか二つに一つ。体中の毛穴を総動員してやむと判断し、根岸線の石川町に向かった。駅から一歩出てビンゴ!雨は上がっていた。 元町から新山下方面に向かうつもりが、外人墓地に寄り道して、そのまま本牧の方に向かってしまった。山手のあた...
先週水没させたiPodだが、なんとかだましだまし使えるようにはなっていて、擬人化していうなら、水没事故のことを忘れている間はスムースに稼働しているのだが、なんかの拍子に思い出すと、電源が切れて起動しない状態に陥ってしまうという感じだ。今日も散歩の間はもってくれたが、そのあとすぐ...
昨日足立区の某所で水没したIPod touchだが、たぶん復活の目はそれなりにあったと思うのだが、ドライヤーをあててかなり加熱してしまったことで墓穴を掘ってしまったようだ。今はUSBケーブルを差し込んだ瞬間アップルのリンゴマークが表示されてすぐにブラックアウトする愉快な箱になっ...
3月30日に開業した日暮里・舎人ライナーに日暮里から乗る。JRの改札をぬけると右手すぐに上りエスカレーターがあってライナーの駅と直結していた。車両はゆりかもめと同じタイプで、ステンレスに赤と緑のラインが入っており、運営主体の東京と交通局のロゴが入っている。ゆりかもめと違ってこち...
夜まで持つかなと思ったが、家を一歩出たとたんぽつぽつきて、目的地にたどり着いたときには本降りになっていた。あいにくにくの雨だ。ひとつ目の「にく」は桜のため、もうひとつの「にく」は今日首都圏で開業する二つの路線、横浜市営地下鉄グリーンラインと日暮里・舎人ライナーのためだ。今日はそ...
東京は桜が満開だとはいうが、この目でみる一本一本の桜の木は、すでに散り始めて葉桜になっているものや、まだつぼみが多いものがあったりして、それぞれの速度で春を歩んでいるのだった。 仮にぼくが桜嫌いの遺伝子工学のエキスパートだったら、桜が通年咲くようにして桜の季節感を抹消しようとす...
春めく陽気の中に、埃っぽい風が吹き上げて、心許せない肌寒さがわだかまっていた。 中野から北に進もうか南に進もうか逡巡した挙句というほど逡巡はしなくて、北に進むのがいつの間にか規定事実になっていた。中途半端な郊外。都心に比べると風景の中の情報の密度が圧倒的に希薄で、心楽しまず。 ...
いきなり物欲に火がついた。対象はPentaxのレンズDA35mmF2.8 Macro Limited。換算53mmという個人的にいちばんしっくりくる画角(好みとしてはむしろ広角なのだが客観的にみて50mm前後のときの写真がいちばんできがいいと思う)とマクロ機能に惹かれたのだ。特...
雨の日恒例の美術館巡り。まずは恵比寿の東京都写真美術館。『マリオ・ジャコメッリ展』も興味があったが、会期は5月6日までで、それまでにはまた雨の休日があるだろうということで、今日のところは『シュルレアリスムと写真』のみをみることにした。 シュルレアリスムという運動がはじまったのは1...
出遅れたときは近場から、という黄金律を踏みにじってなぜか府中から歩き始めたのは16時を過ぎていた。 府中は東芝府中工場、府中刑務所に限らず、道を分断する巨大な箱物が多いので、つい道のりがワンパターンになってしまう。今日は意識的に見知らぬ細い道を選んでみたのだが、デッドエンド感あ...
東京の地下鉄駅名には「~丁目」というのがいくつかあるがすべて奇数でしかも「三」が圧倒的に多い。本郷三丁目、新宿三丁目、そして今日のスタート地点四谷三丁目。 いきなり、あちこちに行き止まりが配置された迷宮地帯に迷い込む。前方が開けていたのでどこかに抜けられるだろうと思った路地の先...
地図をながめていて「高尾山」という文字を見つけたとき、誤植か何かだと思った。だって、そこは八王子市の高尾山からかなり離れた横浜市緑区と東京都町田市の境界あたりで、住宅地のただ中だったからだ。調べてみると、それは標高100mほどではあるが実在する山ということで、ちょうど大和から町...
大きな気がかりがひとつ片づいて、それにあわせて春がやってきた。 目的地は六本木に決まっていた。出発地は六本木にたどりつけそうな場所であればどこでもよかったのだが、一本、木を差し引いて、目黒区五本木と目星をつけた。駅でいうと東横線の祐天寺だ。 歩き始めてすぐ、このまままっすぐ歩い...
武蔵小金井駅の発車チャイムが「さくらさくら」なのは、小金井公園の桜にちなんでいるのだろうか。 その武蔵小金井駅から徒歩10分ちょっとのところに滄浪泉園という名のその庭園はあって、市役所を定年退職してから十年以上そこに座り続けているような男性から、100円の入園券を買って中に入っ...
病み上がりのようにゆっくりとした足取りだが春は徐々に近づいてきていて、今日なんかはその吐息が感じられそうだった。何といっても3月なのだ。 横浜中心部の街並みはうららかな日射しに照らされて、まどろんでいるようだった。みているのは海の向こうの遠い異国の夢。薄暗い階段をあがったところ...
昨日の春一番に続いて、今日もまたすさまじい強風が吹き荒れている。でも日射しがかなりやわらかで、風さえやり過ごせば、それなりに春気分を感じられそうだった。 強風の影響で乗り込んだ中央線の電車は青梅特快豊田行きだった。首都圏の交通事情に明るくない人のためにこれのどこがすごいのかを解...
曇っているのに、遙か北に壁のようにそびえる丹沢山地の黒い山肌が、やけに克明にリアルにみえた。それだけ山の近くにきたということなのだろう。やってきたのは湘南台。湘南といえば海だが、「台」がつくだけで、一気に山がちになってしまう。 湘南台に来るのは二度目で、一度目は、10年近く前に...
電車の中で対面のガタイのいい男性が読んでいた分厚い本は『知覚の現象学』というタイトルだった。ぼくはひとりで著者名当てクイズをはじめて、「メルロ・ポンティ!」。ピンポン!もちろん、メルロ・ポンティなんて読んだことないけど。 上野から歩き始めて寛永寺から谷中霊園の入口。何度も歩いて...
陽光を浴びながら歩く成城の街。中心部を少し離れただけで高級住宅地らしさは息をひそめ、ふつうの郊外の空気が広がっている。併走するのは川世線という名前の送電線で、たぶん川崎と世田ヶ谷を結んでいるのだろう。巨人のファッションショーのようにさまざまな形の鉄塔が並んでいる。 調布市にはい...
まぶしい日射しと青い空。昨夜降り積もっていた雪はどこにも残っていなくて、夢の中の出来事のようだった。 湘南モノレールはパスモ未対応だった。大船から湘南江の島まで300円の乗車券を買おうとして派手に小銭を地面にぶちまけた。 湘南モノレールはレールの下に車体がぶらさがる懸垂式だ。は...
夜半から降り続いた雪が街を静けさで覆っていた。外に出ると、スタッドレスタイヤの準備ができてないせいなのか、いつもより車の量が少ないように感じた。 竹橋の東京国立近代美術館へ。なんと今日は無料観覧日とのことで、小躍りとガッツポーズを同時にする。まずは所蔵品展をみる。ここの所蔵品は...
京浜東北線の中でシートの端に座っていた男性は、それが全財産というようなガムテープで補強されたキャスタートランクを脚の間に挟み、シートからずり落ちそうになりながら眠っていた。やがてほんとうにずり落ちて、それでも電車の床に座り込んだまま、背中をシートの縁に預けて眠りを続けようとして...
見上げれば空はつんつるてんののっぺらぼうで、そこには喜びも悲しみも、それ以外のどんな表情も浮かんでいなかった。空の表情を形作っていた雲は強く冷たい風に飛ばされてどこかにいってしまったのだ。最近撮った写真をほとんど青みがかった色味に調整しまくっているぼくだったが、今日の空の青さに...
JR横浜線、相模線、京王相模原線、3線が集結する橋本は交通の要所だが、北口駅前はコンコースが整備されているものの、歩いている人の数はそれほどでもなく、とりあえずの第一印象は乗り換えのための駅という感じだった。 いつのまにか都県境を越えて、神奈川県相模原市から東京都町田市、すぐに...
江戸川区のほとんどの地域は人工の大河荒川の東側に位置しているが、平井、小松川だけは西側に飛び出していて、西側に居住する人間からみると地続きのような親しみを感じる。江戸川区の平井地域と江東区・墨田区の間は旧中川という川で隔てられてはいるが、川幅はそんなに広くないし、連絡する橋も...
「いちが」とつぶやいて最後に「やー」と何の屈託もなく口を大きく開けば東京の都心だけど、「ぉ」と抑制的に唇を丸めれば横浜北部の住宅街だ。田園都市線駅の名前は「市が尾」で町名としては「市ヶ尾」。残念ながら未見だが、岩松了の舞台『市ケ尾の坂』(なぜか「ケ」が大きい)のタイトル通り坂が...
最高気温6℃という予報を聞いただけで震え上がりそうだったが、風が強くない分寒さはどうにか耐えられる程度だった。 荻窪駅からほんの10分くらい歩いたところに大田黒公園という日本庭園を主体とした公園がある。入場無料だ。大田黒というと、ドラマとかで金持ちの悪役に使われる名前というイメ...
東京(といっても南のはずれだが)では青空がかいま見えたのに、列車が西に向かうにつれ巨大な基盤のように雲が隙間なく広がってきた。 藤沢駅前はなかなか規模が大きい街だった。にぎわいだけを比較すれば鎌倉も負けてないが、市街を山に限られた鎌倉に比べ、平野部の真ん中に位置する藤沢の街の広...
冷たい雨が降っていたり、面倒な書類の欄を埋めなくてはいけなかったりで、外に出るモチベーションは皆無だったのだが、そんな日だからこそ髪を切っておきたかったし、あと書類の欄を埋めるための文房具が買いたかった。それで今日という日の入口が閉じる直前に出かけてみたが、そのモチベーションのな...
それは自動改札からはじまります。それは駅前です。だから右にも左にもたくさん人は流れて。日本語でもアルファベットでもないエスニックな文字の看板があります。ここは新大久保という名前をもっています。 とひとりサマーバケーションEP(注:古川日出男の小説。偶然知り合った仲間が井の頭公園か...