次に起きる出来事をあらかじめ知っていたようにぼくの視線は赤いジャケットを着た白髪の男に引きつけられ、彼は1ヶ月間ずっと練習していたような確信に満ちた足取りでホームから線路に身を躍らせた。ジャストタイミングで電車が滑り込んだが、何の音もなく、ただ何か液体のようなものがこちらまで飛んできた......。という朝方見た禍々しい夢を思い出したのは、ちょうど駅のホームで電車を待っているときで、もちろん赤いジャケットの男はどこにもいなかった。
朝方降っていた雨も湿気だけを残してゴールデンウイーク休暇に入り、入れ替わりにぼくは渋谷にたどり着いた。まずはCDショップ。クラシックばかり聴いていた少年時代のぼくにポップミュージックの楽しさを教えてくれたThe Monkeesのマイブームが突如としてやってきて、彼らのCDがほしくなったのだ。当時アルバムを買ったが、すべてLPレコードで、しかも引っ越しで行方不明になっている。
タワーレコードをのぞいてみたが、オリジナルアルバムはモノラルとステレオ盤で2枚組にするという余計な付加価値をつけて3000円近い値段になっていて、ベスト盤は聴きたい曲を網羅しきれていなかった。次に中古CDショップのレコファン。ここには「The Monkees By Request」というこれ以上考えられないくらいすばらしい選曲のベスト盤があった。ファンのリクエストで選んだらしい。3枚組の中古良品が4000円ちょっと。しかも今ならさらに200円割引セール中だ。これは買いでしょう。
ほくほくして渋谷の街に戻るが、なんだかもう「散歩」という気分ではなくなっていた。「散歩」はやめて、カメラをぶらさげて渋谷の街をほっつくことにした。矛盾しているようだが、「散歩」というのは今やちょっとオフィシャルで融通がきかない行為になっていて、ほっつくというのは記録に残さなくていい、距離も関係ない、もっと肩の力の抜けた歩きをさしている。
薄曇りで、絶好の写真日和。写真を撮ることを第一に歩く。いったん駅のそばまでもどってから宮下公園。歩道橋の向こう側のビルの窓に雲が浮かぶ空が反射するのを歩道橋とそこを渡る人ともども撮ろうとして、試行錯誤する。
青山劇場にぶつかってUターン。再び渋谷駅方向に戻る。金王坂をくだってクロスタワーのスタバで休憩。休日のこのあたりは渋谷にしては人が少なくて、まるで郊外にきたような錯覚を覚える。外の椅子にもたれて空を眺めていると、低空飛行の雲の船団がものすごい勢いで飛び去ってゆく。上空の雲は静止しているのに、その対比がおもしろい。雲と文庫のページを交互に眺めながらラテをすする。せせこましい「散歩」では味わえないゆったりした気分だった。
品川で食事をすませて、そのまま天王洲まで歩く。天王洲で芝居をみるのだ。チケットの引き替えがまだだったので、ちょっとあせったが、無事北品川駅前でファミリーマートをみつけて、引き替えに成功した。
帰りも、運河沿いの夜景を眺めながら、品川まで歩く。今日は「散歩」はしなかったが、一日ずっとほっつき歩いていた。もともと、ほっつき歩くのが好きで、どうせならそれを記録に残そうとして「散歩」という行為を作り上げたのだが、ちょっと形式化しつつある。ほっつきスピリットを復活させないとだめだな。
- 天気
- 晴れときどき曇り
- イベント
- 天王洲銀河劇場:シティボーイズミックス『オペレッタ ロータスとピエーレ』
- 写真
- 4/18
- 買い物
- レコファン(渋谷):The Monkees By Request - 3895円
- 飲み食い
- スターバックス(渋谷クロスタワー):ラテ-410円
- せたが屋(品川・品達):せたが屋ひらつけめん-1050円


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