梅雨明けは現状の追認としてやってくる。
夏の盛りの日射しをさけて夕刻から歩き始めてみると、風は案外涼やかで、帆をいっぱいにふくらませたヨットが水面でなく脳裏に浮かぶ。
秋葉原から、歩き慣れて既視感を感じる街並みを通り抜けてゆく。門を開け放って開放的な九段のフィリピン大使館からは椰子の葉が塀越しにはみだして、トロピカルな地上3メートルの領空侵犯をしていた。
なんだか写真を撮る気がほとんどおきない。おなかがいっぱいでレストラン街を歩いているような気持ちだった。
まだまだ歩き足りないが、7時から芝居をみることを考えると、この先の一歩にはリスクがともなう。飯田橋で切り上げることにした。
地下鉄で下北沢に向かおうとするが、溜池山王で南北線から千代田線にのりかえるときに誤って改札の外に出てしまい、初乗り料金を二重に支払う羽目になる。shit! 南北線溜池山王駅と千代田線国会議事堂前駅は駅名が違うので、いったん改札の外に出なければならないと思ってしまったのだ。
下北沢で食事のあと観劇。これで5週間連続の極私的夏の演劇祭りも小休止を迎える。
開演前、劇場でフラッシュをたきながらコンパクトカメラで何枚も写真を撮っているカップルがいた。まずはお互いの姿を撮って、そのあと連続して誰もいない舞台を撮っている。ぴかぴかぴかぴか目障りでかなわなかった。さすがに、劇場の人に注意されていたが、反省したり恐縮したりする素振りはまるでなかった。
帰りの駅で、荷物が軽く触れて、「失礼」と男性から声をかけられる。結構、この「失礼」という言葉にあこがれる。形式的には誤っているんだけど、卑屈なところはどこにもなく、むしろそれをいうことで相手より優位にたつことができるような気がする。大人の言葉だ。
渋谷のタワーレコードは今日限りのポイント3倍セール中。ちょっと散財する。


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