西武池袋線に比べて、西武新宿線(および拝島線)は列車の種別が少ないし速達性に劣っていて、軽視されていると思っていたが、いつの間にか拝島快速という種別の電車ができていた。田無より先各停になってしまう急行を尻目に、花小金井を通過し、小平からは名前の通り拝島線に入り、三駅通過という大胆さで玉川上水に停車。その先はさすがに各停で終点の拝島までというなかなかの飛ばしっぷり。拝島快速、四文字熟語みたいでかっこいい。
しかしそのスピードをもってしても、ぼくが拝島にたどり着いたのは16時過ぎだった。睦橋という多摩川にかかる橋の中では一、二を争う地味な橋をわたってあきる野市に入ったのもつかの間、すぐに東秋川橋を渡って、八王子市へ。東秋川橋は心霊スポットらしいが、たぶん、そのせいではなく、早くも夕暮れの気配があたりに立ちこめる。
突如として道がカーブして上り坂があらわれた。さきほどから見え隠れしていた山をいよいよ越えなくてはならないらしい。えっちらおっちら。
かすかにただよいはじめたキンモクセイの香りと、たなびく野焼きの煙。秋だ。
山をひとつ越えるのは肉体的にも精神的にも重労働で、あたりが少し街らしくなってきてほっとしていたら行く手にまた山。左折して平坦な滝山街道に入った。
夕方から夜への移行も素早くて、そろそろバスに乗った方がいいかもしれないと思いながら、車道の隅に白線で区切られたかりそめの歩道を転ばないように注意深く歩く。
創価大学の先で案内板が二方向を示していて、左折が八王子駅、直進が八王子市街。どちらも同じじゃないかと思いつつ、ナビウォークの指示で直進を選んだが、考えてみれば八王子市街の範囲はかなり広い。市街というのは周縁部にたどりつくことを意味しているのだとあとから気がつく。それにしてもナビウォークは候補を表示するときは目的地まで2.3kmと表示していたくせに、ルート案内をはじめたとたん、3km以上になるのはどうしたことだろう。
はるか遠いと思っていた八王子駅も、浅川を越えると、あともう少しという気がしてくる。実際はそこから先がかなりあるのだが。たどりついたのは、混じりけなしの夜、夜、夜。
軽く腹を満たして、新宿に出る。物欲の釣り糸をたらしてみたが、お目当てのブツはまだひっかからない。


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