西武立川駅は名前からするとJR立川駅から目の前みたいだが、その間は西武新宿駅とJR新宿駅の距離の比ではなくはなれていて、広大な昭和公園とその他森羅万象が横たわっている。
その西武立川の駅舎からでると秋のおだやかな日射しとのどかな郊外の風景が出迎えてくれた。線路際にはツマグロヒョウモンチョウが何頭もひらひら舞い飛んでいる。目に見えない巨大なヴェールみたいにキンモクセイの香りがあらゆる隙間に入り込む。セイタカアワダチソウが金髪でのっぽの北欧人みたいに上から見下ろす。なんだか、幸福ってこういうことじゃないのかと錯覚させてくれそうな秋の日だった。
いったん北に進むが再び南に舞い戻って、西武拝島線の線路を越えた天王橋。道の向こう側で中年女性が鞄を枕にして寝転んでいて、それを若い女性二人と警官一人が見守っていた。事故でもあったのだろうか。寝転んでいる女性は意識はしっかりしているみたいで、何やら話していたが。
風雲急を告げるといった感じで6Bの鉛筆で塗ったような分厚い雲が空を覆ったが、急なのは口先だけで、雨は結局頬をかすめる程度だった。
広大な昭和公園が前方に待ち構える中進んでいくと、右手にオレンジ色の屋根と白い壁のアメリカンな住宅街。塀で遮られているので、米軍住宅かと思ったが、今はもう返還されて一般人が住んでいて、アメリカ村とか呼ばれているらしい。中に入れるのなら入り込んで写真を撮ればよかった。
陸上自衛隊の駐屯地の縁を通ってJR立川駅に近づいてゆく。昭和公園の入口のところで西の空をみると背筋がぞくぞくするほどきれいな夕焼け。万華鏡みたいに刻一刻とその色合いを変えて片時も目を離せない。ある瞬間クライマックスの色合いだと思ったら、もう次の瞬間には想像もできない色に変わっているのだ。
芝居を観るので立川から吉祥寺に出る。どうもホリデー快速に縁があって、またしても三鷹まで乗り込んでしまった。
いつも穴子せいろばかり注文していたうどん屋でカレーうどんを頼んだら、野太いうどんにだしのきいたスープがマッチして絶品の味わいだった。
木曜日に携帯のストラップが切れてしまったので、代替品を買うことにする。前と同じリール式の伸縮するやつにしようかと思ったが、iPodを提げているヒモとあわせて、首に2本ヒモをつけるのも鬱陶しいので、ヒモはiPodと共用にして1本のヒモにケースを2つつけるというソリューションを思いついた。できるだけiPodのケースと一致するトーンにしようと思って同じメーカーの製品を選んだが、結果としてかなり突飛な色の組み合わせになってしまったような気がする。
芝居が終わって外に出てみると、風がぐんと冷たくなっていた。吉祥寺は都心よりかなり寒いのだ。


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