昨日の雨が、冬を呼び戻した。また会ったね、冬。
自分でも全く予想していなかった東京メトロ丸ノ内線新大塚から歩き始める。いったんJR大塚駅に接近するが、池袋方向に揺り戻しをかける。頭の中の地図が180度回転していたせいで、歩き慣れているはずが、まったく見覚えのない新鮮な街並みが広がる。
首都高の向こう側に思いがけず広大な緑地がみえてあっけにとられるが、すぐにそれが雑司ヶ谷霊園であることがわかり、頭の中の地図がくるりんと正しい向きに戻った。霊園の中では家、家、家。"DIED IN TOKYO SEPTEMBER 14, 1916" と刻まれているのは誰か外国出身の個人の墓だ。もうすぐ100年が過ぎ去ろうとしている。
池袋駅の南側、心臓の弱い人や高齢者は通行禁止の(と勝手に妄想している)びっくりガードを細心の注意を払って通り抜ける。西武池袋線の踏切を渡ったところで直角に折れ曲がり再び踏切を渡るというハスラー的な技巧で、山手通りに出た。
通りの向こうは地蔵堂通りという細い道。地蔵堂というのは地蔵が祀ってある小さな祠で、山手通りからそれほどかからずついてしまう。たぶん、その先は地蔵堂通りという名前は失われて、名もない通りが続いている。昔、ぼくにとっての東京、つまり世界のサイズが、今よりずっと小さかったころ、世界の果てを確かめるようなつもりで、この道をいけるところまでいってみようとしたことがあった。そのとき何をみてどう感じたかということはもう忘れてしまったけど、今日また歩いたその道は、退屈を感じるほどには長かったし、絶望を感じないほどには短かった。道は学校のわきで行き止まりになっていて、思っていたよりはずっと「果て」という言葉がふさわしい感じだった。
東京メトロの千川駅到着。副都心線で渋谷まで出てしまう。
パルコの地下では、カフェからメープルのにおいがただよい。今パスタを食べたばかりだというのに、こんがり焼けた厚切りのトーストにメープルシロップをぬりたくって食べたくなった。
NHKの方からパトカーに先導されて「クリスマス粉砕」のデモ隊がやってきた。デモ隊といっても総勢10人前後だが、欧米系の男性がいたり、コスプレで女装している人なんかもいたりして、さみしい感じはぜんぜんない。みんな声をはりあげて楽しそうだ。なんだ、彼らも結局クリスマスを楽しんでいるんじゃないか。ちなみにぼくはこうみえてクリスマスはけっこう好きだ。正月をやめて、かわりにクリスマスを2回やればいいと思っている。

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