ディアー・ヨシサダ

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西武新宿線の東村山で乗り換えて一駅目が終着駅、西武園。今日は閑散としていたが、競輪開催日にはにぎわうんだろう。競輪場と直結する出口の前に広めのスペースがとってあった。

駅はぎりぎり東京都東村山市にあるのだが、いきなり埼玉県所沢市に入り込んでしまった。東京側にコースを補正しようとしていたら都県境に広がる八国山緑地の中に入り込んだ。

ちょうど境界線上にある尾根道を歩く。適度に木が間引きされているので見通しがよく明るい。ジョギングや散歩をしている人たちも多くて、すれちがったり、追い越したり、追い越されたり。左手の眼下には住宅地が垣間見え、右手は森林。ほとんど葉を落としていたが、一本だけ他を圧倒してすくっと伸び、上部に葉を茂らせた樹があって、なんだか森の主っぽい威厳をただよわせていた。

ところで、八国山の名前の由来は上野、下野、常陸、安房、相模、駿河、信濃、甲斐の八ヶ国の山々を見渡すことができたからだという。最初、八ヶ国が見下ろせるのかと思ったが、100mに満たない標高でそんなわけはなく、八ヶ国の山が見えるということだった。武蔵が含まれないのも、今ここだから。平坦な武蔵野でまわりに高い地形がないから可能だったのだろう。この地形は戦乱の折にも活用されたようで、東端の出口の手前に将軍塚という塚が残されていた。将軍というのは新田義貞のことだ。東京近郊を散歩しているとあちこちで新田義貞の名前に出会う。

緑地の外に出た。カモやコイが群れている大きな遊水池。貼り紙によるとタヌキの親子も住みついているらしい。水の中に入っているのは、エサを探すためで、溺れているわけじゃないので、そっと見守ってくださいというようなことが書いてあった。まだ日中の明るさが残っている時間だったし、夜行性のタヌキが姿をあらわすことはなさそうだった。

もともと東京都側に歩くつもりだったが、無意識的に街のにぎわっているほうに足が向き、所沢の市街へ。立ち並ぶ商業施設、商店街。所沢にきたのははじめてではないけど、街の息吹を味わったのはこれが最初。それなりにふところの深い街なので、今日だけでは何ともいいがたい。

市街地を抜けるとともに、夕闇がおりてきて、ゴールを探すモードに入った。そんな中みつけた「有楽町」という住居表示。そう、所沢にも有楽町があるのだ。所沢在住の人に「有楽町で逢いましょう」といったらすれちがいになってしまうかもしれない。

いくつかの小さな勘違いの末、西武新宿線の新所沢駅にたどりついた。所沢という名前はついているが、さすがにローカルな駅だった。[西武園駅〜八国山緑地〜所沢〜新所沢駅(8.2km)[地図]]

新宿まで出てしまう。おひつ家で、豚キムチ鍋定食-893円。raison d'êtreのおひつはなくなってしまったけど、ここは小鉢の数が多くて内容が充実しているのがうれしい。

腹ごなしに新宿の街をぶらついていたら、ゆったりと落ち着いた気持ちが一瞬だけどこからか落ちてきた。

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