値十円

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電車の窓をたたく雨の激しさはいかにも夕立という感じだったし、東の空が、昔の映画で "The End"がかぶさるラストシーンみたいな明るさだったので、おっつけやむんじゃないかと楽観的に考えていた。その明るさが未来の晴天を予告するものでなく、過去の名残だということに気がついたのは、渋谷から乗り込んだ井の頭線が明大前についたときだった。もともとは、雨がやんだら、そこで降りて歩き始めようなんて思っていたのだが、いったん新宿にでることにした。

むろん、新宿でも雨は降っている。先に食事をすませて、その間にやんでないかと思うのは自由。ほんとうに思っただけだった。流浪の民みたいに脚を引きずりながら歩くのは大手を振って散歩するより消耗がはげしくて、完全に気力が失せた。河岸をかえて買い物をして帰ることにした。

秋葉原そして銀座。久しぶりに衣類でも買おうかと思っていたのだが、なんか面倒になって結局なにも買わなかった。代わりに、ミス・マープルが飲んでいたジンジャーワインというものを買う。

途中で雨はあがっていた。まだしもとことん降ってくれた方がきっぱりあきらめがついていいのだが、なんだかぼくの散歩を邪魔するだけのために降ったような気がしてくる。Shit! Merde! このくそ天気に、やりばのない怒りが煮えたぎる。その矛先は天気と関連するすべての人やもの----お天気お姉さんとか、お天気おじさんとか、お天気屋の人、風見鶏、風見しんごをはじめとする風見姓の人----に向かった。

もちろん、もちろん、悪いのはぼく自身。雨なら雨の日なりの楽しいことをすればよかったし、途中で雨が上がったなら、雨上がりの夜空の下歩くのもなかなかおつだっただろう。ああ、それができなかったせいで、ブックオフに10円で売り払ってしまいたいような一日だった。

天気
雨のち曇り
写真
4/6
飲み食い
新宿ねぎし(西新宿):ブラッキーセット-1000円

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