この連休のどこかで、夏の間暖めていたというか、盛夏を避けていたので、むしろ冷ましていたといった方がいいかもしれないが、金沢文庫から途中ほとんどハイキングコースだけを通って鎌倉までいく計画を実行しようと思っていた。街好きのぼくにとっては、楽しみどころか苦行といった方がいいような企てだが、金沢文庫と鎌倉というかなり隔たった場所の間がハイキングコースによってつながっているという事実をこの目と足で確かめずにはいられなかった。それがたまたま今日だったのは、たまたま比較的早く外に出る準備ができたからだ。
たぶん写真はほとんど撮れないと思うので、ふだんレンズ3つもっていくところを2本にして少しでも身体を軽くし、全身緑色の衣装に身を包み、フォレストな気分を演出して、出発。
久しぶりにいった京急蒲田駅。少しずつ高架化工事は進行していて、本線の南側は上りの高架が運用開始されて地上の線路の片側がとりはらわれていたし、空港線も二層の高架が第一京浜をまたいでいた。ただ、ホームはまだすべて地上に置かれている。完成は2012年らしい。
快速特急で金沢文庫まではあっという間だった。線路沿いを上大岡方向に進み住宅地を通り抜けると、世界の裂け目みたいにハイキングコースが口をあけていた。深呼吸をして足を踏み入れる。
それからは基本的にずっと山道。上ったり下ったりたまに平坦だったり。まず能見堂跡にたどりつくが、あくまで「跡」なので「能見堂」の部分がほかの何であっても特に変わりはない。いったん、車道に沿った平坦な砂利道になってその先は金沢動物園。
動物園の入口の脇から再び山道がはじまる。横浜横須賀道路の下を通り抜けて池の畔から鎌倉方面への道は危険ということでふさがれていた。かなり遠回りになりそうだが、反対側の山の中に分け入っていく。ずっと急な上り坂が続いて、今日の行程の中でここが一番つらかった。峠におかれていたベンチでしばし休憩する。
鎌倉へ向かう道に再び合流する。時折ぼくと同様遅いハイキングやジョギングをしている人とすれちがうが、目礼をしてもらえるとなんだかうれしい。こちらも目礼を返す。
ようやく横浜市を抜けて鎌倉市。眼下に整然と区画された墓地が広がる。まるで摩天楼の並ぶ都市を鳥の視点でながめているようだ。そしていくつもの山道が交差する、いわば山中のローマ、天園にたどりつく。読みは「てんえん」だが、ぼくは昔から勝手に「アマゾン」と呼んでいた。もういい加減暗くなりつつあったので、休憩所にはよらず、まっすぐ下界を目指す。建長寺、瑞泉寺、鎌倉宮と標識が示す降り口は3つあるが何となく一番近そうな瑞泉寺を目指す。
ずっと曇り空だったが、西の空がぼんやりしたオレンジ色に染まっていて、無理矢理ハッピーエンドで終わらせようとするストーリーが破綻した映画のようだった。
だんだん下りが増えてきたが、足場を確保するのに苦労して、リズムと平衡感覚が失われてきた。ちょっと道が左右に傾斜しているだけでもふらふらして、恐怖心がわき上がってきたが、なんとかバランスをとって下へ下へとおりてゆく。
そして夕暮れの中、瑞泉寺の近くに下山。久しぶりに人間界におりてきたように感じる。だが、iPhoneは圏外。さっき峠の上では接続できたのだが。室内の暖かい灯りの中ではケーキ教室が開かれていて、テーブルを囲む女性たちはみな美しい。そのドアの前にはこれまた美しい猫がちょこんと座り込んで夜の訪れを待っている。夜はすぐにやってきた。
鎌倉駅到着[金沢文庫駅〜六国峠ハイキングコース〜天園ハイキングコース〜瑞泉寺〜鎌倉駅(13.3km)[地図]]。連休初日からもうへとへとだ。
川崎まで出てしまった。タリーズに入ってパニーニのセット(ドリンクとサラダがついてくる)を注文したが、札が一枚もなくてあせる。小銭をかき集めてどうにか880円になった。


金沢文庫からとは健脚ですね。
僕は、建長寺の裏から六国峠ハイキングコースにまぎれ込んでちょっと歩いただけで汗だくになりました。
いやあ、さすがにへとへとになりました。脚というより急な階段をのぼるときの呼吸が苦しかったですよ。もう、しばらくハイキングコースは歩きたくないですね。