幸福な助走と網猫

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昨日とうって変わって心地よい日射しがふりそそぐ日曜日。現金なもので体調も気分も一新される。

数週間前に北総線の北国分駅にたどりついたとき、駅周辺よりむしろ少し北側の方が開けていて、その道路をまっすぐ進めば松戸はすぐそこということに気がついた。それで、北国分から松戸駅を経由してさらに北上するコースを思いついたのだが、もうひとひねりして一駅手前の矢切から助走をつけてみることにした。

矢切駅前は北国分ほど開けてなくて、商業地と呼べるほどの区画はなく、駅前を通る県道から道一本入るとのどかな住宅地が広がっている。畑と民家に挟まれた路地の向こうにはこんもりと茂った森が鎮座していて、まさに田園風景。映画なら向こうから自転車に乗った若いカップルがやってきて、幸福だった過去を振り返るシーンとかになりそうだったが、実際すれ違ったのは老夫婦だった。『東京物語』か。

そんな感じで幸福な助走を終えて、北国分付近の市街地。ファストフードのチェーン店、クリニック、ペットショップ。松戸方面に向かうと典型的なロードサイドの風景が広がる。やがて目論見通り松戸中心部へ。駅前のコンコースから続く歩道橋の一本がパチスロとサラ金が入っている細長いビルの中に一直線に吸い込まれていて、なんか松戸はヤンキーのライフスタイルにいたせりつくせりの街だなとか思ったりした。

松戸駅を東口から西口に通り抜ける。こうして一度に二つの顔をみておくと、少しはその街のことをわかったような気になれる。折しも、秋祭り。御輿が続けざまに通り過ぎてゆく。

川に沿った空き地にたくさんの子猫たち。一匹だけ離れて近くにいた猫の顔に電柱にからみついた網がかぶさって「網猫」とでもいうべき状態になっていたので、写真を撮るべく一歩足を踏み出したら、警戒して仲間のところに戻っていってしまった。ああ、その場でシャッターを押すんだった。もう余計な警戒心を与えたくないので、その場をあとにする。達者でな。

常磐線と500mくらい離れて並行する道路を北上。いつの間にかとっぷりと夜。馬橋駅のにぎわいがこぼれてこちらまでやってきて、それが終わらぬうちにさらに力強い新松戸駅のにぎわいのおこぼれ。ここまできたらもともと目指していた南流山までいってしまうことにして、ネオンライトの瞬きを横目に、暗い夜道に足を踏み入れる。

武蔵野線のほど近くを歩いているつもりだったが、駅に近づいた感じはまったくなくどんどん暗くなってくる。しかも前方に障害物が立ちふさがって道をふさいでいる。一瞬大きな川の土手かと思ったが、そのあたり一帯が巨大な再開発区域になっているのだった。闇に目をこらすと矢印で南流山駅の方向が示してあった。

駅は突然あらわれた[矢切駅〜北国分〜松戸駅〜南流山駅(13.0km)[地図]]。JR武蔵野線とつくばエクスプレスが交差するターミナル駅だ。武蔵野線だと東京の都心に出るまで少し迂回しなくてはいけないが、つくばエクスプレスなら一直線。あっという間だ。つくばエクスプレスはこのあたりの交通環境を一気に塗り替えてしまっていて、周辺にさまざまな影響を与えているようだ。

つくばエクスプレスで秋葉原に出て、JRに乗り継いで東京駅に。カレーのアルプスではいつもカツカレーだが、今日はカロリーを気にして麻婆カレー450円。これはこれでおいしかった。丸善で念のため次に読む本を買っておいた。迷った末に、丹治春信『クワイン』(1575円)。

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