北紀行

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頭の中はからっぽ。北行の京浜東北線の電車に乗って、東京の北の果て赤羽で降りる。

駅前から北にのびる一番街という商店街に足を踏み入れてみた。食べ物のにおいが満ちあふれる楽しそうな商店街だった。幸先がいい。

すぐそばの地下鉄南北線の赤羽岩淵駅を通り過ぎて、北区の大動脈北本通りと隅田川の間の住宅地に毛細血管のように張りめぐらされている路地を選んで歩いてゆく。古い寺や神社があったりして、開発の流れから取り残されていることがいい味を醸し出している。

寒い日だとはいうが、歩くにはむしろこれくらいの気温の方が気持ちいい。歩いている間に身体が温まるが、心は冷えたままで、その冷え加減が心地よいのだ。

住居表示が王子に変わったので、もう二駅分歩いたのかと思ったが、すぐに東十条に変わり、一駅戻された。陸橋でJRの線路を越え、向こう側の台地へ。自衛隊駐屯地のまわりには公園が整備されていた。いつの間にか北区中央図書館という赤レンガの重厚な建物ができている。今まさに日が沈み、最後の輝きが西の空に残っていた。

公園を通り抜けている間にすっかりあたりは暗くなる。適当に歩いて適当に都営地下鉄三田線の新板橋駅にたどりついた[赤羽駅〜赤羽岩淵駅〜北区中央図書館〜新板橋駅(8.0km)[地図]]

神保町に出た。今日は神田古本祭りの最終日。もうほとんど終わる時間だったが、ぎりぎり間に合った。とはいえ、自分の部屋の中でさえ、必要なものを見つけることができないぼくが、短い時間で掘り出し物を見つけたりすることができるはずもなく、絶対にうかっていない学校の合格発表をみているようだった。代わりにディスクユニオンでここ何ヶ月も買おうと思って買えていなかった Joni Mitchell "Clouds" の中古盤を1050円で入手する。いい買い物ができた。

三省堂前から御茶ノ水にのぼる坂の入口にいきなりカレー屋が増えて、3件が軒をそろえている。その中からオオドリーというスープカレーの店に。チキンカレー1000円。辛さとスープの種類(黒、赤)を選ぶことができる。とりたててどうということもないが悪くない味だった。

さらに坂を上ってスタバへ。久しぶりにタンブラーをもっていったので20円引きでラテ270円。ガラス窓の向こうのベンチに女性が座って、携帯電話をいじっている。黒っぽい服装が制服に見えたので最初女子高校生かと思ったが、ぷかぷかとタバコを吸い始めたので(たぶん)ちがうはずだ。かなりのハイペースで口元にタバコを運んでいた。灰皿をおきに店内に入ってきたときにちらりと横顔がみえたけど、理知的な感じの猫顔の美人だった。いろいろストレスがたまるのかもしれない。

丸ノ内線で銀座に出たのは、買う予定のないあるものが、ひょっとしてあるかなと思ったからだ。なかった。それだけ。

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