掟の門再訪

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京王線の西調布でおりたのは、半年前通り抜けられなかった通路に再挑戦するためだ。大きく二つに分かれている武蔵野の森公園の間を結ぶ調布飛行場の脇を通る通路だ。別にカフカの『掟の門』みたいに怖い門番がいるわけじゃなく、閉まるのが16時30分で、それを過ぎていたのだ。

今日は脇目もふらずまっすぐ向かうつもりがまちがえてほかの公園に入り込みそうになった。小さな犬が首輪のコードをひきずったまま走ってきて公園の外に出ていってしまった。外は車も走っているし危ないなと思ったところに、幼い姉妹が後を追いかけていって、無事抱きかかえて戻ってきたところまでを確認して、散歩を再開する。

今度は間違えずに武蔵野の森公園。サッカーのグラウンドがいくつかあるので、公園の中はユニフォーム姿の小学生男子とその父兄でラッシュ状態だった。その間を通り抜けて、お目当ての通路へ。

調布飛行場の西側に沿ってどこまでもまっすぐ伸びている。全長1kmちょっと、ふつうに歩いて15分くらいだが、風景が単調なので体感的にはもっと長く感じる。土曜日だからなのか飛行機はほとんど離着陸しなくて、途中一機だけ一番離れた滑走路にこっそりセスナが降り立っただけだった。

通路を抜けると武蔵野の森公園の主要部分。そちらには目新しさを感じないので、すぐに外に出て西武多摩川線の多磨駅の下をくぐって向こう側へ。そして歩道と車道が分離されてなくて歩きにくい人見街道。

浜田山から久我山と井の頭線と並行するように進んでから三鷹市役所の前を通り多磨駅の北を通過するこの街道を、もちろん何度となく歩いているが、碑をみつけて今日初めてその名前の由来を知った。人見というのは府中市若松三、四丁目にあった集落の名前で、さらに由来をたどれば近くのにある足利尊氏と新田義貞が戦った古戦場が人見原という名前だったらしい。

人見街道沿いでゲーティド集合住宅を発見。中には住居が建ち並び、遊んでいる子供たちの姿も見えるが、人二人分くらいある高い門扉はかたく閉ざされている。最近、こういうのが増えてきているみたいだ。中世の外敵の侵入を防ぐための都市が、近代になって逆にいかに効率よく出入りさせるかという方向になり、それがまた局所的に先祖返りしてゆくのだろうか。

何かが焼けるにおいとたなびく白い煙。やがて消防車のサイレンが近づいてくる。ひょっとして、火事?新小金井街道との交差点の角にある家の庭から煙がでていた。たき火が大きくなりすぎたようだ。住人らしき老人と並んで、先乗りしていた消防士がホースで水をかけている。火はもうほとんど消えていた。二人は仲良く並んで立小便でもしているようにみえた。

そのすぐ先で航空自衛隊の基地にはばまれ人見街道は終わりを告げる。暗くなる一方の街。その暗さが極大に達した頃国分寺市に入る。そのままJR国分寺駅まで。[西調布駅〜武蔵野の森公園〜多磨駅〜人見街道〜国分寺駅(10.2km)[地図]]

あらかじめ定められていたように何の迷いもなく吉祥寺に出た。創作うどんが楽しい葱坊主でトマトスープカレーうどん(790円)。以前タリーズがあった東急裏の一角をちらりとのぞいてみたが、再開発される気配もなく、建物は閉ざされたままだった。スタバの隅に席を確保してラテ(270円)。

久しぶりに新代田からバスで帰ることにする。調べたら半年ぶりだった。ぼくがバスに乗るのは、この路線と、散歩中に、駅から離れたところで疲れ切ってしまったときだけだが、それでもバス共通カードをもっている。5000円のカードを買うと5850円分使えるので、お得感があるからだ。今日使ったら残額が160円。もう一枚買おうかなと思っているところに、車内でバス共通カード終了のお知らせを発見した。発売は2010年3月31日まで、利用は7月31日までだそうだ。もう一枚買っても使い切れないので、今のが最後のバス共通カードということになりそうだ。これからは電車と同じでSuicaまたはPasmoを使うことになる。便利だが、ぼくみたいにたまにしか利用しない人に対しては、割引はゼロ。まあ仕方ないか。

先ほどまで曇り空ながら穏やかな暖かさだったが、冷たい木枯らしが吹き始めた。

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